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2007年3月

2007/03/29 Thu *放たれし / The Clash

20070329giveemengoughrope


咲き誇る。
桜の森の満開の下。
その芳香に誘われて。
その妖気に惑わされて。

何かを外そう。
何かを脱ぎ捨てよう。
何かを断ち切ろう。
いま、放とう。

『Give 'Em Enough Rope』'78年リリース。
初期衝動をそのまま詰め込んだ様なラフでシンプルな1stアルバムから一転したクラッシュの2ndアルバム。
何とブルー・オイスター・カルト等のプロデューサーだったサンディー・パールマンを迎えて。
隙間の少ない、完成度の高い(高すぎる)サウンドを聴かせていて。あまりにも堂々としていて。
最早パンク・ロックの範疇では語れないこのアルバムには否定的な評価も結構あったりするのですが。
そもそもジョー・ストラマーにしてもミック・ジョーンズにしてもパンク・ロッカーである以前に。
出自は唯の“ロック馬鹿”だったりするので。この王道的なハードなR&Rは充分にありだったのではないかと。
肌触りは変わっても「Tommy Gun」のもうイントロからヒリヒリする様なカッコ良さはやはりクラッシュだからこそで。
そしてなにより生き生きとR&Rするジョーとミック、特に嬉々として弾きまくるミックが何だか微笑ましくもあり。
いみじくも『動乱(獣を野に放て)』と邦題にある如く、パンクと言う枷から放たれた開放感が眩しいアルバムです。

咲き誇る。
桜の森の満開の下。
その芳香に誘われて。
その妖気に惑わされて。

鎖を外して。
鎧を脱ぎ捨て。
柵を断ち切って。
いま、放たれる。

咲き誇る。
桜の森の満開の下。
放たれし。
そのものの行方も。
放たれし。
そのものの正体も。
知る由もなく。
知る意もなく。

ただ、放たれし。

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2007/03/28 Wed *なるように / The Rolling Stones

20070328letitbleed


なるように。
そう。たぶん。
何事も。
なるようになる。
単純に考えても。
複雑に思い案じても。
一本道を進んでも。
脇道に逸れたりしても。
でる答えも。たどり着く先も。
なるようにしかならなかったりする。

『Let It Bleed』'69年リリース。
喧騒と激動の'60年代の終りに相応しく。硝煙と血の匂いが漂うローリング・ストーンズのアルバム。
絶望的な虚無感を身に纏いつつも、何ものからも目を逸らさぬ強固な意志を併せ持つ。
そんなストーンズの、キースとミックの強かさ、しぶとさが地の底から沸き上がってくるかの如く迫ってきます。
ブライアンの解雇と悲劇的な最期。そしてミック・テイラーの加入と。激しく揺れ動き変化していく渦中にあって。
ライ・クーダーやレオン・ラッセル等のゲスト・ミュージシャン達を飲み込んで、骨の髄までしゃぶり尽くして。
米国南部への、ブルースへの回帰を進めながら。飽く無く追い求め、突き詰めて。その奥へ、その先へと。
'60年代のストーンズの集大成でありながら'70年代のストーンズの原点たるサウンドを創りあげているのです。
「Gimme Shelter」「Midnight Rambler」に漲る危機感、「Live With Me」の性急な切迫感もさることながら。
タイトル曲、ストーンズならではのルーズなこのナンバーからも血の匂い、緊迫感が漂うところに凄味を感じます。

なるように。
そう。たぶん。
何事も。
なるようにできる。
単純に考えようが。
複雑に思い案じようが。
一本道を進もうが。
脇道に逸れてみようが。
でる答えも。たどり着く先も。
なるようにすることができる。

なるようにできる。
そう。たぶん。
何事も。
血を流す覚悟があるならね。

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2007/03/25 Sun *ほっ / Eric Clapton

20070325backless


何の予定も無く。
何の約束も無く。
のんびりと。ゆっくりと。
そんな一日を過ごす。
ほっ、と一息をついて。
遅めの昼食を食べて。
珈琲を飲みながら。
レコードでも聴きながら。
とりとめの無い思いを巡らせて。
いつになく寛いで時を過ごして。

『Backless』'78年リリース。
一連のレイド・バック路線を極めたかの如く、実に落着き寛いだエリック・クラプトンのアルバム。
ボブ・ディランから提供されたナンバーがあったり、全米チャートにランク・インしたナンバーもあったりと。
それなりに話題もありながら。全体の低奏音は本当に静かな温もりに満ちているのです。
米国南部に憧れて、焦がれて。彷徨って、漂って。なんとか、どうにかこうにかここへ辿りついたと。
そんな正にジャケットに表れている様に。ほっ、と一息をついて落着き寛いでギターを奏でるクラプトンがいます。
まぁ、あまりにもあまりだろうとも言えるのですが。こんな力の抜け具合も必要な時があるなと。
このアルバムリリース後には『461 Ocean~』から連れ添ってきたバンドを解散して、新たな一歩を踏み出します。
それを思うと。何かを始めるには。新たな旅立ちの前には。ほっ、と出来る時間が必要だったのだと思うのです。

何の予定も無く。
何の約束も無く。
のんびりと。ゆっくりと。
過ごした一日の終りに。
ほっ、と一息をついて。
温かでかけがえの無い。
そんな場所で。そんな人達と。
食卓を囲んで。杯を交わして。
言葉の要らない思いを語りあって。
いつもと変わらぬ寛いだ時を過ごして。

ほっ、と一息。
何かが始る。
新しい週を迎える。
その前には。
そんな時間が必要なのです。

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2007/03/23 Fri *義を見て / The Beatles

20070323help


う~ん。
そんなに大変なんだ。
しかもそんなやり方では。
それは理不尽だし。
それは無意味だし。
なんとかしたいよね。
変えたいよね。進みたいよね。
なんとか。なんとかね。

『Help !』'65年リリース。
2本目の主演映画のオリジナル・サウンドトラック盤としてリリースされたビートルズの5枚目のアルバム。
デビューして僅か3年弱で5枚目ですから。しかもツアーもこなして。その他諸々も。走り続けてきたビートルズ。
映画に使われたA面の7曲と。このアルバム用に録音されたB面の7曲。全部で14曲が収録されていますが。
がむしゃらに走り続けて、叫び続けて。流石に消耗して、疲弊して。考えるところも色々あったと思われて。
特にジョンに大きな変化が。その後のジョンの辿る道を指し示す様な兆しが種々表れてきています。
タイトル曲もその弾けてポップな曲調とは裏腹に実は救いを求めるジョンの心情を描いたものだったりして。
もっとストレートに心情が、苦しみが伝わる曲調にしたかったと後にジョン自身が語っています。
そして「You've Got To Hide Your Love Away」にはかってないほどに内省的で繊細なジョンがいて。
こんな曲をあの声で歌われれば。それはもう。その世界に。それが悲痛な叫びだとしても魅せられてしまいます。
それでいて「Dizzy Miss Lizzy」で野趣に溢れたシャウトを響かせる“R&R”なジョンにも惹きつけられるのです。

う~ん。
かなり大変ではあるけれど。
やり方次第ではあるけれど。
道理が通るように。
意味があるように。
なんとかしてみましょう。
変えていきましょう。進んでいきましょう。
なんとか。なんとかね。

困っている。
惑っている。
なんとかしたいけど。
変えたいけれど。進みたいけれど。
そのやり方が解らない。
でも。それでも。
なんとかしたい。

その思いが。
その叫びが。
届いたならば。
確かだと思えたならば。
やれることは。
やらなきゃしかたないよね。

それが火中の栗だとしても・・・ね(苦笑)。

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2007/03/22 Thu *With A Little Help... / Ringo Starr

20070322ringo


まぁ、それなりに。
まぁ、かなり狭い世界だけど。
まぁ、かなり限られた範囲だけど。
まぁ、それでも。
腕におぼえありで生きている。

でも、それなりに。
でも、かなり狭い世界でも。
でも、かなり限られた範囲でも。
でも、それでも。
腕のおぼえがゆらぐこともある。
あれれ。うむむ。

『Ringo』'73年リリース。
ジョンが、ポールが、ジョージが別々にではあるけれど参加して話題になったリンゴ・スターのアルバム。
それまでの2枚のアルバムが趣味的なものだったので。3枚目にし初の本格的なソロ・アルバムともとれます。
ジャケットもブックレットも豪華で気合が入っています。勿論、中身も気合を入れて作られているのですが。
そこはビートルズの頃から周囲に愛され、助けられてきたリンゴですから。仲間達にお出まし願ったと。
それに応えて。ジョンも、ポールも、ジョージも。いい曲を提供していて。いい演奏を聴かせてくれていますが。
やっぱりあの時代を、あのアルバムを、あのリンゴを。ちょっと揶揄しながらも盛りたててみせるジョンがいいかな。
そしてリンゴ自身もジョージの助けを借りて如何にもな「Photograph」なんて哀感漂う名曲を生み出しています。
今となっては尚更、針を落とす度に郷愁と哀愁に包まれるのですが。それもリンゴならではの世界なのでしょう。

でも、それなりに。
でも、かなり狭い世界でも。
でも、かなり限られた範囲でも。
でも、それでも。
腕のおぼえがあやふやになることもある。
あれれ。うむむ。

そんな時。決まって聞こえてくる声がある。
お~い。元気ですか。どうしてますか。
お~い。また一緒にどうですか。また共にどうですか。
そんな時。決まって応えられる声がある。
お~い。元気だよ。そっちはどうですか。
お~い。そうだね。またどこかで一緒にね。また共にね。

まぁ、それなりに。
まぁ、かなり狭い世界だけど。
まぁ、かなり限られた範囲だけど。
まぁ、それでも。
まだまだ腕におぼえありでやってくよ。

With A Little Help From My Friends...

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2007/03/21 Wed *たまさか / John Lennon

20070321sometimeinny


都心ではあるけれど。
存外に静かで穏かな。
そんな街で暮らしている。
そんな街での生活がやはり。
存外に気に入っていて。
何もなくても。何かあっても。
そんな街での。
時の流れが。人の流れが。
気に入っている。腑に落ちている。
それでも。たまさか。

『Some Time In New York City』'72年リリース。
ジョン・レノン&ヨーコ・オノ名義でリリースされたスタジオ&ライブの2枚組アルバム。
スタジオ録音では社会的で政治的なナンバーが並んでいるのですが、実は常に自己の視点で歌ってきたジョン。
そのジョンが他の人物や社会的視点から多くを歌っていて。そこがジョンのアルバムの中でも異色かなと。
それ故か題材の割には(題材に反してか)存外にポップな側面もあったりします。
ヨーコの作品、そして歌も。これまた存外に美しくすらあったりもして。これがなかなか良かったりして。
決して直線的に訴えるだけが能ではないと。ここら辺りのセンスが流石はジョン&ヨーコかなと思ったりもします。
勿論、それだけではなく。ヘヴィーでアナーキーなライブと一体でリリースしてるのも強かでらしいのですが。
いずれにしろ生々しくて。聴く度に。ジョン&ヨーコの。その時、その都市での息づかいを色濃く感じるのです。
正直、2枚通して聴くのは。本当にたまさかだったりするのですが。

都心ではあるけれど。
存外に静かで穏かな。
そんな街で暮らしている。
そんな街での生活がやはり。
存外に気に入っていて。
何もなくても。何かあっても。
そんな街での。
時の流れが。人の流れが。
気に入っている。腑に落ちている。
それでも。たまさか。

そう。たまさか。
都市ならではの。
息づかいが。喧騒が。
どうしようもなく。恋しくなって。
忙しなく。慌しい。
時の流れに。人の流れに。
身を任せてしまう。心を任せてしまう。

そう。たまさか。
この都市から離れられない。
この都市に魅せられている。
そんな自分の存在を。
確認したくなる。

たまさかではあるけれど。

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2007/03/20 Tue *鼓動 / The Beatles

20070320beatlesbeat


聞こえてくる。
伝わってくる。
もしかしたら。
見えるかもしれない。
触れられるかもしれない。
ムズムズ。
ウズウズ。
ドキドキ。
変わっていく何かが。
やってくる何かが。
目を覚ます。動き始める。
その息づかいがいま、ほら、そこに。

『The Beatles Beat』'64年リリース。
若々しい鼓動が聞こえてきそうな。そんな“ブリティッシュ・ビート”なジャケットが御機嫌なビートルズの編集盤。
全12曲収録のドイツ編集盤で、'70年代に入ってから日本盤でもリリースされていました。
とにかく。若さ溢れるビートルズ。デビューして一気に世界中を席巻しようとしていたビートルズ。
その姿が絶妙な選曲で見事に捉えられています。オリジナルが8曲にカヴァーが4曲のバランスも絶妙で。
「She Loves You」「I Want To Hold Your Hand」もあれば。「Money」「Please Mister Postman」もあって。
特にやっぱりこの頃は。ジョンのヴォーカルのある種、八方破れ的な迫力が炸裂してて魅力的なのです。
そして、しっかりと4人でバンドしてるビートルズ、そのはちきれそうな一体となった鼓動が感じられるのも何とも。
で、正式にはCD化されないであろう、こういった各国独自の編集盤でビートルズを聴くのが結構好きです。

聞こえてくる。
伝わってくる。
はっきりと。
見えている。
触れられる。
ムズムズ。
ウズウズ。
ドキドキ。
変わっていく何かが。
やってくる何かが。
目を覚ます。動き始める。
その息づかいがいま、ほら、ここに。

外で。内で。
震え始めた。
その鼓動に。
胸躍らせ。
足震わせ。
さあ、一歩前へと。

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2007/03/17 Sat *涙の後に微笑を / Cockney Rebel

20070317cockneyrebel


心配で。心配で。
不安で。不安で。
寝ようと思ったけど。
寝付けなくって。
何度も。何度も。
寝返りを打って。
飛び起きたりして。
どうしよう。どうしようって。
そんな一夜を過ごしたんだ。

『The Best Of Steve Harley And Cockney Rebel』'80年リリース。
その文学志向と退廃の香りを身に纏うことでグラム・シーンで異彩を放っていたコックニー・レベル。
一時的な解散を経てスティーヴ・ハーリー&コックニー・レベルとしてよりポップな側面も垣間見せてと。
そんな歩みをシングル・ヒット曲を中心にした選曲で振り返ってみた、そんな解散後にリリースされた編集盤。
元々がジャーナリストで演劇的志向もあったハーリーが描き、演じてみせる独特な世界。
陽気でいながらどうにも哀感が漂ってしまう様な。素直になれなくてどうしても斜めから見てしまう様な。
そしてどこか、いつも芝居がかっている様な。そんな触れれば崩れそうな脆い美しさが眩しい瞬間があるのです。
オリジナルの「Make Me Smile(Come Up And See Me)」・・・そしてあの「Here Comes The Sun」のカヴァーにも。
その。幸福な瞬間にも感じられてしまう切なさと、それが故の愛しさだけにある、あの美しさがあるのです。

心配で。心配で。
不安で。不安で。
なんとか眠ったけど。
眠りが浅くて。
何度も。何度も。
夢を見て。
夢の中でも魘されて。
どうしよう。どうしようって。
そんな一夜を過ごしたんだ。

だから。
涙目なんだ。
瞼が腫れてるんだ。
だけど。
今はほら。
涙目だけど。
目尻が下がってしまうんだ。

その声が聞きたかった。
その顔を見たかった。
その姿を抱きしめたかった。
この切なくて愛しい。
この幸せな瞬間を待っていたんだ。

夜が明けて。
貴女がやってきた。
それだけでいいんだ。

おはよう。
涙の後に微笑を。

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2007/03/15 Thu *道は / Crosby, Stills, Nash & Young

20070315fourwaystreet


時が違えば。
道も異なる。
今ここで。そう。
右へ。左へ。
分かれ道で。
別れて。
それぞれの道を。
それぞれの歩き方で。

『4 Way Street』'71年リリース。
'70年のツアーで収録されたクロスビースティルス・ナッシュ&ヤング(CSN&Y)の2枚組ライブ・アルバム。
1枚目がアコースティック・セット、2枚目がエレクトリック・セットになっています。
ライブなので粗さはありますが。そのメロディーやハーモニーの美しさも味わうことが出来ます。
が、既にこのツアーの頃には別々の道を歩き始めていた4人。まぁ、個性の強い4なのでさもありなんですが。
それぞれの魅力が輝いてはいても。あくまでも個が競い合っていて。CSN&Yである必然性は無いかとも。
それでも聴かせてしまうところが凄いと言えば凄くはあるのですが。演ってる側の緊張感もかなりだったかなと。
個人的にはエレクトリック・セットである2枚目がやはりその緊張感からくる迫力もあって好きだったりします。
「Southren Man」「Carry On」でのニール・ヤングとスティーヴン・スティルスの鬩ぎあいなんて鬼気迫っていて。
この後何回か、再び同じ道を歩いたり、三度分かれ道で袂を分かったりする2人の業なんかも感じたりして。
それにしても。スティルスもいいのですが。やはりヤングは頭抜けてるかなと。やはり痺れてしまいます。

場が違えば。
道も異なる。
今ここで。そう。
右へ。左へ。
分かれ道で。
別れて。
それぞれの道を。
それぞれの歩き方で。

でも。
道は。
どこかで繋がっている。
心が重なれば。
道も重なる。
いつかどこかで。そう。
右から。左から。
分かれ道で。
出会って。
同じ道を。
それぞれの歩き方で。

そんな時も。
そんな場も。
来るかもしれない。
あるかもしれない。
道は一つではないのだから。

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2007/03/14 Wed *ただ愛だけが / Neil Young

20070314afterthegoldrush

穏かで。
長閑で。
明るくて。
そんな。
春の一日。
そんな。
何だか訳も無く。
微笑んでしまう。
心が温かくなる。
このささやかな幸せを。
乱すものがあるとしたら。
ただ愛だけかもしれない。

『After The Gold Rush』'70年リリース。
誰もが熱病にとりつかれた様に変化を求めた'60年代後半が過ぎ去って。
誰もが変わらない現実を目にして立ちすくんだ’70年代の始まりにリリースされたニール・ヤングのアルバム。
時代の空気を象徴するかの如く、ヒリヒリする緊張感とザラザラした孤独感に包まれたアルバム。
そして故にニールの感情の昂ぶりから、震えから。情感に溢れたメロディーが次々と奏でられています。
盟友スティーブン・スティルスとのギター・バトルも凄まじい「Southern Man」に込められた激しさ。
それは他の穏かに思えるナンバーにも潜んでいて。その声高ではない切実さに胸が締め付けられます。
そんな虚しさ、やりきれなさを。それでも温かく、前向きに聴かせる。そこにニールならではの凄味を感じます。
タイトル曲、そして「Only Love Can Break Your Heart」と続く美しさには究極の破壊力が込められています。

穏かで。
長閑で。
暖かくて。
そんな。
春の午後。
そんな。
無抵抗で。
欠伸をしてしまう。
眠気に身を任せてしまう。
このささやかな幸せを。
乱すものがあるとしたら。
ただ愛だけかもしれない。

そう。
ただ愛だけが。
景色を。空気を。
一変させる力を持っている。

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2007/03/13 Tue *あなたにお茶と / Edgar Winter

20070313jasmine


お疲れ様。
今日も一日。
頑張りましたね。
外は寒かったでしょう。
ブーツを脱いで。
コートも脱いで。
寛いで下さいね。
あなたに。
お茶と音楽を。

『Jasmin Nightdreams』'75年リリース。
ジャケットの自らに擬した人形が妖しい雰囲気を醸し出す、エドガー・ウィンターのソロ・アルバム。
勿論ソロとは言っても、ジョニー・ウィンターもリック・デリンジャーもダン・ハートマンもと。
所謂ウィンター・ファミリーの面々がいつもの様に参加してエドガーをサポートしていますが。
あくまでもエドガーのソロなので。エドガーの多種多様(やや支離滅裂)な趣味が全開となっています。
兄であるジョニーがブルースなら、エドガーはソウル、R&Bな人なので。その辺りの香りを漂わせつつ。
ファンクもあれば、ジャズぽかったり、メロウだったりと。あちらへこちらへと浮遊しまくっています。
で、ジョニーにはブルースを、リックにはR&Rをしっかりと弾かせていて。もう何でもありです。
でも。何故か全編を通してはちゃんとエドガーの世界観で統一されている様に聴こえるから不思議です。
この。あやかしの世界に引き込まれたら。そこで見るのは素敵な夢・・・ばかりじゃなさそうですが(苦笑)。

お疲れ様。
明日もまた。
忙しいのですね。
身も心も温かくしましょう。
もう一杯。香るのを。
もう一曲。安らぐのを。
ゆっくりと休んで下さいね。
あなたに。
お茶と音楽を。

あなたに。
ジャスミン茶と。
一枚のレコードと。
そして。
そう。
心地良い眠りをと。
素敵な夢をとね。

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2007/03/12 Mon *灯りを消して / Peter Wolf

20070312lightsout


灯りを消して。
窓を開けて。
夜の闇の中から。
微かに漂ってくる。
匂いを。気配を。
逃さぬ様にと。

『Lights Out』'84年リリース。
J.ガイルズ・バンドを脱退した(クビになったとも)ピーター・ウルフの1stソロ・アルバム。
なんと言ってもJ.ガイルズ・バンドの看板だったウルフなので。まさかソロになるとはと。
違和感を抱きつつも。あまりにポップに洗練されてしまった後期のJ.ガイルズ・バンドを思うと。
まぁ、それもありかなと思いつつも。J.ガイルズ・バンドが大好きな自分としては複雑だったのですが。
基本的に。その姿勢やノリが。更にはそのヴォーカル・スタイルが変わる訳ではなく・・・変われないので。
ソウルやR&Bへの愛情をそこかしこに散りばめつつ、より柔軟で軽やかなウルフもまたいいかなと。
何よりタイトル曲の歌詞にある様に“灯りを消して、暗闇で踊ろう”と呼びかける、そのウルフの。
その解き放たれて自由に駆け出そうとするかの佇まいが、その足どりが実に楽しそうなのがいい感じです。
それでも。やっぱり。マジック・ディックのハープや、セス・ジャストマンのキーボードが聴こえないのは寂しいかな。
(ちなみに1曲だけ、ミック・ジャガーが参加していて。あの声でウルフに絡んでいます)

灯りを消して。
窓を開けて。
夜の闇の中から。
微かに漂ってくる。
匂いを。気配を。
掴まえたなら。

表に飛び出して。
ステップでも踏みながら。
軽く踊りながら。
さぁ。調子が整ったら。
夜の闇の中を。
一気に駆け出そう。
どこまでも。いつまでも。
その見果てぬ後姿を追いかけて。
走り続けよう。

夜の闇の中から。
微かに漂ってくる。
春の匂いが。
その気配が。
誘いかけてくる。
惑わせにやってくる。
それを承知で。
灯りを消して。
窓を開けて。

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2007/03/11 Sun *雨あがりの / The Carpenters

20070311singles


雨があがった。
雨あがりの空は。
青く澄んで。
陽射しが輝いている。
穏かな休日の午後。
静かに時が流れていく。

『The Singles 1969-1973』'73年リリース。
今ではそれこそあまりにも多くの編集盤がリリースされているカーペンターズ。
このシンプルなジャケットに12曲を収めたこのアルバムこそがその最初の1枚です。
「We've Only Just Begun」から「(They Long To Be) Close To You」まで。
選び抜かれた、そして誰もが知っているナンバーばかりが輝きを放っています。
静かな時の流れの中で針を落として、耳を傾けて。珠玉のメロディーに身を任せて。
なんてカレンの歌声は美しく、優しく。そしてどうしてこんなにも儚くて脆いのかなと。
絵に描いたような世界は、そう絵でしかなくて。いつか、そして必ず崩れ去ってしまうのだと。
でも、だからこそ。絵に描いたような世界で過ごせる時間は、ひと時はとても大切なのだと。
絵に描いたような休日の午後に身を浸しながら。そんな思いに囚われてしまうのです。
自分が歳を重ねる毎に。カレンの歌声はどんどん澄んで聴こえて、切なさが一層胸に募るのです。

雨があがった。
雨あがりの街は。
風も冷たくて。
空気が輝いている。
穏かな休日の夕暮れ。
静かに一日が過ぎていく。

雨があがった。
雨あがりの道を。
歩きながら。
これから過ごす。
ささやかで。
温かなひと時を思う。
絵に描いたような。
そんなひと時でも。
そんなひと時だから。
抱きしめていたいと。

雨があがった。
雨あがりの街角で。
立ち止まって。目を閉じて。
うん、大丈夫。
明日は月曜日だけど。
雨の日にはならないだろうからね(笑)。

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2007/03/10 Sat *その笑顔 / Roxy Music

20070310foryour


そう。
その笑顔を。
見せてくれるなら。
そう。
いつだって構いはしない。
これくらいなんてことはない。
そう。
その笑顔をね。

『For Your Pleasure』'73年リリース。
A面とB面でガラリとその表情を変えてみせる、そんなロキシー・ミュージックの2ndアルバム。
組曲としても構成されシュールな感すらあるB面がそもそもの構想として存在していて。
飽き足りずに。新たな路線を追求したのがA面だったようですが。このA面が後々のロキシーの基本となって。
結果的にB面にシンセ等で積極的に多大な貢献をしていた、かのイーノが脱退することとなります。
まぁ、その後のイーノの活動を考えると。ロキシー、ブライアン・フェリーと袂を分かつのは必然だったかなと。
で、やはりA面冒頭の「Do The Strand」に代表されるチープでキャンプなR&Rこそがロキシーだなと思うのです。
どうにも色合いがきつくて。どうにも甘味が強くて。体に悪そうなのですが。時々妙に欲しくなるのです(苦笑)。

そう。
その笑顔を。
見れるのであれば。
そう。
いつだって構いはしない。
これくらいなんてことはない。
そう。
その笑顔がね。

そう。
眺めている。
見つめている。
そう。
いつだって構いはしない。
これくらいなんてことはない。
そう。
こっちの笑顔もね。

そう。
誰かの笑顔は。
自分の笑顔で。
誰かの喜びは。
自分の喜びで。

なんてことを。
深夜のバーの。
そのカウンターの片隅で。
噛締めていたりするのです。

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2007/03/09 Fri *されど / The Rolling Stones

20070309itsonlyrr


されど。
そうさ。
たかだか。
それだけのこと。
届くところだけ。
解るところだけ。
その中でだけ。
だけど。
それだけでいいの。
外へ。先へ。僅かでも。
されど。
その一歩を。

『It's Only Rock 'n Roll』'74年リリース。
製作途中でプロデューサーのジミー・ミラーが去り、そしてリリース後にはミック・テイラーが脱退してと。
結果としてはバンドの転換期に位置することとなったローリング・ストーンズのアルバム。
この僅か2年前にはあれだけ米国南部に根差した『Exile On Main St.』をリリースしたストーンズですが。
なんとフィリー・ソウルのグループであるブルー・マジックをコーラスに迎えたバラードがあったり。
レゲエを意識したかの様なナンバーや、もろにファンクを感じさせるナンバーもあったりして。
煌びやかに。そして妖しく毒々しく。南部の太陽の下を抜け出し、都会の夜の中へとその歩みを進めています。
そんな中で。アルバムの中央に鎮座して全体を引き締めているのが、正にストーンズなタイトル曲ですが。
この“たかがR&R、されどR&R”というストーンズだからこそのアンセムの源泉が当時はフェイセズのロニーで。
その1stソロ・アルバムのセッションで基となるトラックが録音されていたりして。もう既に次が見えていたりして。
そう思うと「Time Waits For No One」におけるテイラーのギターが何とも切なくてならないのですが・・・
まぁ、そこは“たかがR&R、されどR&R”なる、ある意味での反則技には敵わなかったんだろうなと思うのです。

されど。
そうさ。
たかだか。
それだけのこと。
僅かでも外へ。
僅かでも先へ。
その中から。
だから。
それだけじゃおさまらない。
届くかな。解るかな。震えても。
されど。
その一歩を。

されど。
僅かでも。
震えても。
されどであること。
されどでいること。
心無くさぬようにと。

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2007/03/08 Thu *たかが / Elton John

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たかが。
そうさ。
たかだか。
それだけのこと。
手の届く範囲で。
声の届く範囲で。
その中でのことさ。
だから。
そんなに過大にとらないで。
そんなものに乗らない様に。
調子に乗らないように。

『Don't Shoot Me I'm Only The Piano Player』'73年リリース。
タイトルもジャケットも見事にトリュフォーの『ピアニストを撃て!』へのオマージュになっている。
そんなセンスも実に粋なエルトン・ジョンのアルバム(邦題は『ピアニストを撃つな!!』)です。
味わい深いバラード「Daniel」と軽快なR&R「Crocodile Rock」と。2曲のヒット曲が象徴する様に。
いよいよエルトンの幅広い音楽性が輝きを増し、彩が多岐に渡ってと。また一段と進化を見せて。
曲作りから、その歌声、そして演奏までも。何とも自信に溢れていて眩しいくらいだったりするのです。
たかがピアノ弾きさ、と嘯きつつ。その実はそのたかがにおさまらない、されどの自負が感じられて。
このさり気なくも、堂々と垣間見せる自信。当時のエルトンが如何に絶好調だったかを物語っています。
繊細な吟遊詩人であり、グラムなロック・スターでもある。それが見事に表裏一体となっているのです。

たかが。
そうさ。
たかだか。
それだけのこと。
でも追いつけるかな。
ほらここまでこれるかな。
そこから出てこれるかな。
だから。
そんなに過小にとらないで。
そんなものではおさまらないように。
密かな自負だけは無くさぬように。

たかが。
調子に乗らず。
自負も無くさず。
たかがであること。
たかがでいること。
見失わぬようにと。

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2007/03/07 Wed *好きさ好きさ好きさ / Mott The Hoople

20070307randrqueen_1


今更なんだけど。
言うまでも無いけど。
知ってると思うけど。
そう。好きなんだな。
Girls、Ladies、Women...
綺麗で。
可愛くて。
御機嫌で。
素敵で。
そう。好きなんだな。
好きさ。好きさ。好きさ。

『Rock And Roll Queen』'72年リリース。
CBSへの移籍に伴って、そしてブレイクに便乗(?)してリリースされたモット・ザ・フープルの編集盤。
初期アイランド時代の、グラムになる前の荒削りで泥臭いR&Rバンドとしての姿が捉えられています。
尤も、評判の高かったライブでの破壊力がどうしてもスタジオには持ち込めなかった当時のモット。
その爆発しそうで爆発できない。じれったさ加減がなんとも。今ひとつ食い足りなくて。何とも歯痒くて。
そのいきそうでいけない。焦らされさ加減がなんとも。おあずけ状態が逆にちょっといい感じかななんて。
実はこのザラザラとした肌触りの。研磨され、装飾を施される前のモットも個人的には好きなのです。
まぁ、原石としては充分魅力的だったのですが。輝きを放つ為にはボウイとの出会いが必要だったのかなと。
で、このジャケット。このイラストのいい感じのチープさ加減が。アルバム・タイトルと共にいいなと思うのです。

今更だけれど。
改めて言うまでもないけど。
改めて思い知るけど。
そう。好きなんだな。
Girls、Ladies、Women...
綺麗で。
可愛くて。
御機嫌で。
素敵で。
そう。好きなんだな。
好きさ。好きさ。好きさ。

綺麗で。
可愛くて。
御機嫌で。
素敵で。
そう。そして。
R&Rが大好きな。
そんな女の娘達が。
そんなRock And Roll Queen達が。
好きさ。好きさ。好きさ・・・なのです(笑)。
昔も今も。
たぶん、これからもね。

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2007/03/05 Mon *どうして / Jeff Beck

20070305bestofjeffbeck_1
  どうして。
  昨日も。今日も。
  そして明日も。明後日も。
  そんなに。
  お酒を飲むの?

  そうだな。
  たぶん。それは。
  忘れてしまいたいことが。
  消してしまいたいことが。
  そんな想いがあるからかな。
  悲しくて。寂しくて。切なくて。
  残しておきたくないからかな。

  『The Best Of Jeff Beck』'69年リリース。
  第1期ジェフ・ベック・グループの2枚のアルバムと、
  シングルから選曲されたジェフ・ベックの編集盤。
                     この上半身裸でギターを弾くベックが何ともカッコいい
                     見開きジャケットが先ず素晴しいなと思います。
                     ソロ名義の珍品(?)「Love Is Blue」(あの「恋は水色」のカヴァー!)
                     なんてのも収録されていますが。
                     聴きものはやはりロッド・スチュワートをヴォーカルに迎えた
                     第1期ジェフ・ベック・グループでの作品で。
                     特に「Love Is Blue」のB面として発表された「I've Been Drinking」、
                     この壮絶なバラードが絶品です。
                     ジェフのギターとロッドのヴォーカル。絡み合い、鬩ぎ合い。
                     2人による魂の交感にさえ感じられます。
                     この2人の真向勝負がもう少し続いていれば、
                     歴史も変わっていたかも知れません・・・詮無い話ですが。

                     どうして。
                     昨日も。今日も。
                     そして明日も。明後日も。
                     そんなに。
                     お酒を飲むの?

                     そうだな。
                     たぶん。それは。
                     忘れたくないことが。
                     消してたくないことが。
                     そんな想いがあるからかな。
                     嬉しくて。温かくて。切なくて。
                     残しておきたいからかな。

                     忘れたくて。
                     忘れたくなくて。
                     切なくて。
                     だからかな。

                     まぁ、単に好きなだけかもしれないけどね(笑)。  

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2007/03/03 Sat *そこ / The Kinks

20070303muswellhillbillies_1


そこに。
その街に。
その店があって。
そこの。
扉を開ければ。
カウンターに腰掛ければ。
いかした連中に囲まれて。
御機嫌な音楽に包まれて。
心地良い時間が流れていく。
そこで。
笑っていられる。
安らいでいられる。
泣く事だって(たぶん)できる。
そこは。
やっぱり。
特別な場所なんだと。

『Muswell Hilbillies』'71年リリース。
地元、マスウェルにあるパブで撮影されたジャケットが印象的なキンクスのRCA移籍第一弾アルバム。
一説にはアメリカでのセールスを考えてパイからRCAへ移籍したとの話もありますが。
あのレイ・デイヴィスがそんな商売っ気を出すかなと。単に自分のやりたいことを自由にやる為だったのではと。
確かにサウンド的にはカントリーな、アーシーな。ザ・バンドの路線を狙ったかの様な感じもするのですが。
キンクスが演ると。どうしたってイギリスの香りが漂ってしまうので。そこが何とも言えない味を出しています。
いつもながら、いつも以上に。この素直になれなさ、捻くれさ加減がキンクス・・・レイだなぁと微笑んでしまいます。
まぁ、見果てぬ夢の象徴であるアメリカに憧れながら、今日も明日もパブで杯を交わし続ける。
そんな愛すべき自らの出自を、故郷を、そこを。何とも郷愁をかきたてる温かな視線でもって歌っているのです。
そう考えるとまた尚更、このジャケットがいいなと。レイも、そしてデイヴも。そこで。飲んでたんだろうなと。

そこが。
その街が。
その店があって。
良かったと。
そこに。
開けられる扉があって。
腰掛けられるカウンターがあって。
いかした連中がいてくれて。
良かったと。
そこで。
御機嫌な音楽に包まれながら。
心地良い時間に身を沈めながら。
飲みながら。
笑いながら。
安らぎながら。
(実は)少し涙ぐみながら。
そこは。
やっぱり。
特別な場所なんだと。

地元でもない。
故郷でもない。
でもそこは。
もう特別な場所なんだと。

そう思っててもいいよね?

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2007/03/02 Fri *待っている / Nicky Hopkins

20070302tinmanwasadreamer


待っている。
夜が明けるのを。
明日になるのを。
待っている。
夜が訪れるのを。
明日の夜になるのを。
あの店で。
いかしたやつらに会えるのを。
御機嫌なバンドがやってくるのを。
待っている。
とびっきりの一夜を過ごすのを。
待っているんだ。

『The Tin Man Was A Dreamer』'73年リリース。
'60年代からストーンズを始めとして多くのセッションでその華麗なるプレイで大いなる貢献を果たし。
ジェフ・ベック・グループやクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスのメンバーとしても活躍した。
そんな稀代の名ピアニスト、ニッキー・ホプキンスの事実上初のソロ・アルバムです。
変名で参加したジョージ・ハリスンや、ミック・テイラー等を従えて。時に激しく、時に穏かに。
ニッキーならではの情感豊で、ある種の気品とどこか色気をも感じさせる演奏がたっぷりと堪能できます。
クイックシルヴァー時代の代表曲「Edward」のバンドが一体となったグルーヴィーな熱さに胸が高鳴り。
儚げなヴォーカルを伴った「Dolly」から滲み出る繊細な切なさに胸が締め付けられてしまうのです。
そして「Waiting For The Band」で描かれる、心躍らせるものを待っている時の浮き立ちつつも切ない想い。
この何とも言いがたい想いを。見事に描き、語ってしまう。ニッキーの指さばきにただただ聴き惚れてしまいます。

夜が明けるのを。
明日になるのを。
待ちながら。
夜が訪れるのを。
明日の夜になるのを。
待ちながら。
あの店で。
いかしたやつらに会えるのを。
御機嫌なバンドがやってくるのを。
待ちながら。
とびっきりの一夜を過ごす為に。
胸の中にあの想いが。
あの何とも言えない想いが。
沸き立ってくるのを。
待っているんだ。

そう。
待っているんだ。

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2007/03/01 Thu *波紋 / Ian McLagan

20070301troublemaker_1


水面に。
小石を投げ入れる。
波紋が広がる。
足下に。
さざ波が寄せてくる。
澱んでいた世界が。
よそ者を受入れて。
うろたえながら。
ざわめきながら。
新しい表情を見せる。

『Troublemaker』'79年リリース。
スモール・フェイセズ、そしてフェイセズのメンバーだったイアン・マクレガン。
ロン・ウッドとの繋がりからか、ローリング・ストーンズの『Some Girls』やツアーにも参加していたマック。
その流れでロンとキース・リチャーズの双頭バンド、かのニュー・バーバリアンズにも名を連ねていて。
そのニュー・バーバリアンズの面々も全面参加したマックにとって初のソロ・アルバムです。
ロンとキースが弾いていて。ボビー・キーズも吹いていて。そこにマックの弾む、転がる指先が絡む訳ですから。
実に何とも御機嫌なR&Rアルバムになっています。演ってる面々の楽しそうな姿が目に浮かんできます。
全体的に跳ね回る躍動感に溢れていて。流石はミーターズのドラマーだったジガブー・モデリステだなと。
そして。その上で更に飛び跳ねて。波紋を起こして。バンドのサウンドから新しい表情を引き出してしまう。
そんなマックのスモール・フェイセズの頃から変わらない、楽しく熱い演奏に本当に嬉しくなってしまうのです。
今のストーンズに必要なのはチャック・レヴェールじゃなくて、マックだろう・・・なんてね(笑)。

ふいに。
投げ入れられた小石が。
作り出した波紋に。
足下に寄せてくるさざ波に。
たかだかそれ如きに。
澱んでいた世界の住人達は。
よそ者を受入れられずに。
うろたえることしかできずに。
ざわめきを発するだけで。
凝り固まった表情を見せるだけ。

小石を投げてやろう。
波紋を起こしてやろう。
さざ波をたててやろう。
新しい表情を見せられるか。
よそ者を受入れられるか。
凝り固まったままなのか。
よそ者を拒絶するしかできないのか。
しっかりと見ててやろう。

偶には。
波紋のもとになってみるのも悪くない。
見えなかったものも見えてくるからね。

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2007/02/28 Wed *ホーボーへ / Don Nix

20070228hobosheroes


ポカポカと。
陽気に誘われて。
途中下車をしたくなる。
寄り道をしたくなる。
目的も目標も無く。
当所無く。
ただただ。ふらふら。
ホーボーへ。

『Hobos,Heroes And Street Corner Clowns』'74年リリース。
スティーブ・クロッパーやドナルド・ダンと同級生だったと言うメンフィス生まれのドン・ニックス。
あのマーキーズのメンバーとしてキャリアをスタートさせて。デラニー&ボニーのプロデューサーもやって。
フレディ・キングやジェフ・ベックに作品を提供して。レオン・ラッセルの下でソロ・デヴューを果して等々。
放浪し、流離い続けたドンが古巣スタックスに戻って制作した3rdアルバムです。
ソウル、ゴスペル、ブルースに根差しつつ。やや甘くもある少し儚げでとても優しい歌声が心に沁みます。
何だか何処かの街角を。それも裏通りの陽だまりの中をを流離いつつ口ずさんでいる様な。
そんな身軽さ、気侭さが感じられて。こちらも鼻歌混じりで。何だか釣られて。足どり軽く流離いたくなったりして。
「Black Cat Moan」「Sweet Sweet Surrender」の自演ヴァージョンもとても軽やかだったりして。
ドン自身がプロデュースしたベック・ボガート&アピスのヴァージョンとはまた別の魅力を感じさせてくれています。

ムクムクと。
気配に誘われて。
途中下車をしたくなる。
寄り道をしたくなる。
目的も目標も無く。
当所無く。
ただただ。ふらふら。
ホーボーへ。

表通りから外れて裏通りへ。
あの角からこの角へ。
あっちの陽だまりからこっちの陽だまりへ。
身軽く。気侭に。流離って。
ホーボーへ。
そう。
ホーボーへ。

途中下車の。
寄り道の。
時が、季節がやってきた。
ホーボーへ。

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2007/02/27 Tue *出会えたことの幸せを / Bobby Whitlock

20070227bobbywhitrock


いい天気だな。
この青空の下で。
今日もまた。
お別れの時がくる。
仕方ないよね。
いつかは皆に同じ様に。
旅立つ日が来るんだからね。

でもね。やっぱり。
お別れは寂しいよね。悲しいよね。
誰かの旅立ちに立ち会う度に。
胸の奥のどこか柔らかいところが。
少しずつ硬くなって。欠けていってしまうんだ。
今日もまた。
何かを掴まれて。持っていかれてしまうようで。
目の前が霞んでしまう。

『Bobby Whitlock』'72年リリース。
デラニー&ボニー&フレンズ、デレク&ドミノスでの活動で知られるボビー・ウィットロックの1stソロ・アルバム。
ローリング・ストーンズとの仕事でも馴染み深いあのジミー・ミラーが制作に関わっているのですが。
どうやらデラニー・ボニーを始めとして幾つかのセッションでの録音を集めて纏めたと思われて。
エリック・クラプトンやジョージ・ハリスン、ボビー・キーズが名を連ねているナンバーもあったりしますが。
何と言っても。ドミノスでも披露していた温かく力強いボビーの歌声が最大の魅力となっています。
陽と土の匂いに溢れて。吹き抜けていく風の優しさも感じさせるボビー。その歌声に抱かれる心地良さ。
今ではドミノスで競い合っていたデレクことクラプトンとはあまりに立ち位置が、世界が隔たってしまったボビー。
あまりに商業的成功からも世間的名声からも遠く。このアルバムも知る人こそ知る程度なのでしょうが。
だからこそ。手にできた。聴くことができた。出会えたことの幸せを噛締めたくなる。そんなアルバムなのです。

いい天気だな。
この青空の下で。
今日もまた。
お別れの時を迎えて。
仕方ないよね。
また誰かの、そして自分の。
旅立つ日だって来るんだからね。

だから。そうさ。
お別れは寂しいからって。悲しいからって。
誰かの旅立ちに立ち会う度に。
震えていても。屈みこんでしまっても。
どうしようもないんだけど。どうにもならないんだけど。
今日もまた。
何かが欠けてしまって。持っていかれてしまって。
目の前が霞んでしまう。

仕方が無い。
もう諦めて。
涙溢れるままに。
泣いてしまおう。
出会えなかったら。
今日は。
寂しくも無かった。悲しくも無かった。
泣けもしなかった。
だから。
出会えたことの幸せを。
それだけを噛締めて。
涙溢れるままに。
泣いてしまおう。

御免ね。
これくらいしか。
できないんだ。
御免ね。
これだけしか。
できないんだ。

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