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2008/12/10 Wed *至福と悲劇 / Pete Townshend

20081210anotherscoop


その目に何を映しているのか。
その耳に何が響いているのか。
明らかに異なる光を宿し。
明らかに異なる気を纏い。
周囲のなにものとも交わらぬ。
周囲のなにものにも侵されず。
その輝きの眩さに目を奪われ。
その彩りの禍々しさに目を逸らし。
天賦の才か。狂気の業か。
その胸のうちぞ誰が知る。

『Another Scoop』'87年リリース。
『Scoop』の好評を受けて再びデモや未発表曲を集めて編集されたピート・タウンゼンドの2枚組アルバム。

(『Scoop』に関してはこちらの日記もご覧下さい↓)
http://jumpintacflash.cocolog-nifty.com/decembers_childrenand_eve/2008/10/20081017-fri-fd.html

『Scoop』にも驚かされましたが。今回もまたザ・フーの原石とも呼べる作品群の煌めきに圧倒されます。
初期のデモは弾き語り、後期は完成度の高いもの。その違いはあれどどれも正にザ・フーの世界そのものです。
個人的にはやはり「The Kids Are Arlight」「Pinball Wizard」「Substitute」「Long Live Rock」が興味深くて。
ピートの頭の中で、その視界に映し出されたものに音と言う色彩を与えることでその世界が創造されて行く。
その過程をザ・フーとしての完成ヴァージョンと比較しながら聴くことで想像できたりもするのです。
以前にも書きましたがザ・フーには捨て曲や駄作が殆ど無く。そこにやはりピートの圧倒的な才能を感じます。
そして時にあまりにも美しく、あまりにも狂おしいその世界には狂気の影も過ぎって見えるのですが。
ピートの凄さはその狂気を冷静に対象化して普遍的な作品に昇華できるところではないかと。
そしてその凄さ故に。同じく狂気を宿したキース・ムーンやジョン・エントウィッスルの様に破滅することも出来ず。
生き残った意味を見つめつつ、重みを背負いつつ、演りつづけるしかないと、生き続けるしかないと。
その覚悟を宿した目に。その覚悟を纏った姿に。天才であるが故の至福と裏腹な宿命的な悲劇があるのだと。
映画《Amazing Journey》を観て、改めてこのアルバムに針を落として。そんな思いに囚われてしまいました。

その目に映るものに。
その耳に鳴り響くものに。
新たな眩い光を与え。
新たな凛たる気を与え。
周囲のなにものとも交わらす。
周囲のなにものにも侵されず。
眩い輝きを放つその世界。
禍々しい彩りを纏うその世界。
天賦の才か。狂気の業か。
その胸のうちぞ誰が知る。

唯一無比であること。
孤高の才であること。
そこにある。
至福と悲劇。
それを思う。

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