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2009/09/10 Thu *素晴しすぎる選曲 / The Rolling Stones

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憶えてるかな?

ちょっと昔の話だ。
暫く記憶の片隅に。
眠らせてたんだけど。
思い出したんだ。
話してもいいかな?

あの頃。
どんな時も。

いいことがあった時。
嬉しい時。
微笑が毀れる時。
いつものドアを開けて。
いつもの席に腰掛けて。
ジャックを飲みながら。
カウンターの向こうのあなたと。
笑顔で会話を交わした。

いやなことがあった時。
悲しい時。
涙が溢れそうな時。
いつものドアを開けて。
いつもの席に腰掛けて。
ジャックを煽りながら。
カウンターの向こうのあなたと。
声にはならない会話を交わした。

そこには。
あなたの。
選んだ愛しい音楽があって。
時には抱きしめられ。
時には魂揺さぶられ。
時には背中を蹴られ。
そして。いつも。
心を満たしてくれた。
いつも。いつも。
そう。どんな時も。

『Junp Back』'93年リリース。
ヴァージン・レコードへの移籍第一弾となったローリング・ストーンズの2枚組編集アルバム。
『Sticky Fingers』から『Steel Wheels』までの11枚のアルバムから18曲が選曲されていて。
リマスターされた音源が使用されて。実はこのアルバムでしか聴けないエディット・ヴァージョンもあったり。
各曲に対するキースとミックのコメントがインナー・スリーブに記載されていたりと。
『Forty Licks』のリリースで役目を終えたようでいながら。実はなかなかに侮れないアルバムだったりします。
「Brown Sugar」「Wild Horses」から「Mixed Emotions」まで。選曲は実になんとも王道です。
ストーンズ・ファンだったら誰もが自分で選曲したテープやMDやプレイリストを作った覚えがあると思うのですが。
時にはヒット曲を集めたり。あえてヒット曲を外したり。アップ・テンポな曲ばかりとか。スローな曲ばかりとか。
そうそう。個人的にはキースがリード・ヴォーカルをとってる曲ばかりを集めたりとかも。
そんな自分だけの編集アルバムを作るのって楽しくて。最初はこれで。次はこれ。で、その次はこれで・・・
だから。例えばこのアルバムを聴いても。なんでこの曲、この曲順って。選曲者の心に思いを巡らせたりもして。
で、一番楽しいのは。やっぱり。好きな誰かに聴かせる為に選曲してる時だったりしました・・・よね?

憶えてるかな?

ちょっと昔の話だ。
暫く記憶の片隅に。
眠らせてたんだけど。
思い出したんだ。
話してもいいかな?

あの夜の。
素晴しすぎる選曲。

ストーンズ・ファンのあの娘に恋して。
でもあの娘は。
もう数年来のストーンズ仲間で。
だから。どうしたって。
男と女とか、そんな感じにはなれなかった。
告白するなんて。
そんな雰囲気を作るのは難しかった。

見かねたんだろう。
あなたが言った。
「任せてください。バッチリ選曲してフォローしますよ」
断る理由はどこにもない。
任せよう。
長い旅から帰ってきたあの娘を誘って。
いつものドアを開けて。
いつもの席に腰掛けた。

バッチリだった。
バッチリすぎた。
あまりに素晴しすぎる選曲だった。
俺もあの娘もストーンズ大好きだから。
盛り上がって。もう少しって時に。
あなたがかけるストーンズの。
絶妙なタイミングの、絶妙な曲の流れに。
聴き入ってしまって。
口ずさんでしまう。思いに耽ってしまう。

何とかしなきゃ。
しかたがない。
次の店で決めよう。
最後に何が聴きたい。
俺は・・・
私は・・・
「Wild Hoses」
二人の声が重なった。二人の思いが重なった。
見詰め合う二人。
絶妙なタイミングであのイントロが流れてきた。
えっ?
二人揃ってカウンターの向こうを覗く。
視線に気づいたあなたが笑う。
俺もあの娘も。
何だか可笑しくて。
声を上げて笑ってしまう。
だってさ。
二人じゃなくて、三人の思いが重なったんだから!

結局。
あなたも交えて。
ストーンズ馬鹿三人で。
そのまま朝まで飲み続け。
俺とあの娘は。
あなたの選曲に合わせて。
調子に乗って。
狭い店の中。
歌って。踊って。

しかし。ここで「Wild Horses」かけるかねぇ。
もう泣かせようとしてるでしょう。
イタさんも一緒に飲まない?
すんませんな。いただきます。
ねぇ、次「Brown Sugar」ね。
やむをえんでしょう。
もう、踊ろう。ほら立って。
ちょっと待って。ジャック毀れるから。
イタさ~ん、その次は「Start Me Up」ね。
かしこまり。
で、その次はねぇ、あれだよ、あれ。
あれですね。
チャララ~チャッチャチャ~♪
なんでわかるのよ・・・

本当に。
バッチリだった。
素晴しかった。
たぶん。
あの夜が。
あの選曲が。
あったから。
俺とあの娘は。
今でも。
御機嫌なストーンズ仲間でいられるんだ。

それでいい。
それでいいんだけど。
もう一度。
三人で。
飲んで。
歌って。踊りたい。
勿論。
あなたの素晴しすぎる選曲でさ。

もう五年。まだ五年・・・

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コメント

やりとりが、目に浮かびます。

バーのマスターとしての彼を
私はあまり知らなかったんですね。
古い友人として、
困った時に頼る存在として、
そしてバンドのリーダーとしての
付き合いしかなかったことが悔やまれます。

こんな粋なことやってたんだ。
なんか寂しいけど、うれしいです。

投稿: Mick kazu | 2009-09-11 16:58

私は逆に。
基本的にマスターとしてのあの人しかしらないんですね。

粋で繊細で。強い拘りを持っていて。
時に。その拘りを少しは捨てられればと思う時もありましたが。
でも。その拘りが無かったら。あの店に通うことも無かったし、あれだけ思いを交わすことも・・・

DJの為に選曲する時、無意識にあの人なら何を選ぶかな、なんて考えてたり。
笑わせたり、うけたりは出来ても・・・でもまだまだ泣かせる選曲では敵わないなと。

投稿: TAC | 2009-09-12 13:27

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