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2012/03/03 Sat *あぁ、土曜の夜だ / Tom Waits

20120303theheartofsaturdaynight


あぁ、土曜の夜だ。
例え長い距離を越えた後でも。
例え久し振りの晩餐の余韻に浸っていたくても。
そうなんだ、土曜の夜だ。
このまま。
何にもなかった顔をして。
黙って眠りにつくのはもったいない。

そう、土曜の夜だ。
何かが待っているに違いない。
誰かに会えるに違いない。
そうなんだ、土曜の夜だ。
艶やかで如何わしくて、猥雑で。
妖しくて煩くて、目も眩む様で。
でも。
心優しい。
あぁ、土曜の夜だ。

『The Heart Of Saturday Night』'74年リリース。
酔いどれ吟遊詩人、遅れてやって来たビートニク、そんなイメージを決定的にしたトム・ウェイツのアルバム。
この2ndアルバムを制作するにあたり、レコード会社はジャズに長けたプロデューサーを用意し。
演奏もジャズ・トリオっぽく。トムが思い描いていたジャージーなサウンドと世界を得ることに成功しています。
このアルバムの制作時、トムは24歳。その倍は歳を重ねていて。その何倍も人生のななんたるかを経験して。
そんなことを思わずにいられない。なんとも味のある・・・どころではない。酸いも甘いも噛み締めて。
噛み締めすぎて。異様なまでの迫力と、他に得難い外連味を併せ持ってしまったかの如きトムの歌声です。
何をしたら、何を望んだら、何を志したら。こんな歌が歌えるんだろうなと。いまもって理解不能なんですけどね。
その唯一無比の歌声故に。世界の、社会の片隅の、ある夜の、その街の端っこで生きている。
ちっぽけだけど、したたかで。強面だけど優しくて。現実的なのに、いつまでも夢を見ている。そんな人々の。
生きていく様、心模様を。ぶっきらぼうに、しかし優しく包む混む様に歌うトムに、リアリティがあるのかなと。
まぁ、その実。そのリアリティも。一夜限りのお芝居みたいなものでしかないんですけどね。
でも。そんな芝居じみたものの中にこそ事実があったりもするので。それでいいんじゃないかなと。そうだよなと。
だから。今夜も。夜の街へと。出かけたくなるんだよなと。こんな夜にはぴったりだよなと。それでいいかなと。

あぁ、土曜の夜だ。
例えいつもの夜と同じ様な顔をしていても。
例え何も特別なことなど怒らなかったとしても。
そうなんだ、土曜の夜だ。
このまま。
何にもなかった事にして。
黙って眠りにつくなんてもってのほかだ。

そう、土曜の夜だ。
待っている何かがやってこなくても。
会いたい誰かが現れなかったとしても。
そうなんだ、土曜の夜だ。
艶やかで如何わしくて、猥雑で。
妖しくて煩くて、目も眩む様で。
でも。
穏やかで温かい。
あぁ、土曜の夜だ。

あぁ、土曜の夜だ。
特別なんだ。
そう、土曜の夜なんだ。



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