2012/11/12 Mon *気をつけろ / Hound Dog Taylor & The House Rockers
気をつけろ。
その。
背後に。
後ろから。
見え隠れしながら。
ついてきてるぞ。
こちらが。
立ち止まれば。
立ち止まり。
歩き出せば。
歩き出す。
振り返っても。
決して姿は見えない。
ただ。
その気配だけが
漂っている。
気をつけろ。
『Beware Of The Dog』'76年リリース。
'74年に録音されながら。その発売の前年に、その主役は肺癌で亡くなってしまって。
曰くつきとなってしまったハウンド・ドッグ・テイラー&ザ・ハウス・ロッカーズのライヴ・アルバム。
このアルバムも含めてテイラーはその活動中に僅か3枚のアルバムしか制作してないんですよね。
この恐るべき、そして何とも愛すべきブルース・マンの軌跡としてはあまりに寂しい気がしますが。
(死後に、未発表音源やら、ちょっと怪しげなライヴ・アルバムとかがリリースされてますが)
そんな感傷的な気分など。針を落とした瞬間にぶっ飛んでしまいます。なんなんだ、これはと。
スタジオ録音の1stアルバムも相当など迫力でしたが。それを軽く凌駕する問答無用の本物のブルース。
その1stアルバムも普段クラヴでやってるライヴそのものを再現しようとかなり奮闘したようですが。
やはり本物には敵わないってことですかね。迫力だけでなく、そのノリ、緊張感、総てが別格となってます。
でもって、なんともはや。妖しく、開放的にエロティックで。ブルースはこうでなきゃねってところです。
「Dust My Broom」も含めてエルモア・ジェイムズのナンバーを2曲やってますが、そのスライドの強烈なこと。
実際のライヴではより多くのエルモアのナンバーをやっていたとか。どんなもんだいと弾きまくってたんだろうな。
そのエゲツないまでの迫力に。あぁ、もうこの“猟犬”からはどうしたって逃れられないんだなと覚悟を決めて。
その猥雑なまでのエネルギーを全身に浴びて。一緒になってデヘデのデロデロで楽しむしかないのです。
そしてアルバムの最後、テイラーにしては珍しいスロー・ブルース。その咽び泣く様に憑りつかれてしまうのです。
気をつけろ。
その。
背後で。
隙あれば。
憑りついてやろうと。
狙っているぞ。
こちらが。
威嚇すれば。
卑屈な振りをして。
弱みを見せれば。
とたんにつけ入ろうとする。
目を凝らしても。
決して姿は見えない。
ただ。
その影だけが
蠢いている。
気をつけろ。
些細なことが。
気に障る。
小さなことも。
気になってしまう。
そんな月曜日は。
地獄の猟犬が。
ブルースが。
狙ってる。
まぁ。
いっそ。
憑りつかれて。
猥雑に。
エネルギッシュに。
エロティックにと。
それくらい。
エゲツなくなれれば。
そこまで腹が据わってしまえば。
そこまで腰が動いてしまえば。
それはそれでいいけれど。
気をつけろ。
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