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2013/05/21 Tue *何処から来たのか / Champion Jack Dupree

20130521bluesfromthegutter


自分は。
何ものなのか。
どんな人間で。
どの程度のものなのか。
何処から来たのか。

それを。
そいつを。
そのことを。
ゆめゆめ。
忘れるんじゃないぞと。

いま。
何処にいようが。
何処まで来ていようが。
元を辿れば如何程のものか。
心しておくんだ。

何処から来たのか。

『Blues From The Gutter』'59年リリース。
先ずはそのジャケットの迫力に圧倒されるチャンピオン・ジャック・デュプリーのアルバム。
ニューオーリンズ出身のブルース・ピアニストであるデュプリー。
幼くして両親を火事で亡くして。孤児院で育ち。物乞いをしながら生活し。ブルースに親しむも。
大恐慌の影響もあって音楽では食えずに。ボクサーやコックで生活の糧を得ていた時期もあったとか。
ボクサーとしてはなかなかのものだったらしく。芸名の由来にもなっています。
ボクサーを辞めて。北部へ向かい。やがてその個性的なスタイルで人気を博し録音の機会を得たと。
そんなデュプリーが50歳も間近な時期に録音されたこのアルバム。その個性が最もよく捉えているかなと。
後年は弾き語りの多かったデュプリーですが。ここではバンドを従えて。そのバンドと共に気を放っています。
「T.B. Blues」「Junker's Blues」と。病気や薬物中毒の歌など。これぞといった暗い題材が多いのですが。
そこに宿る生々しさ、しぶとさ、ふてぶてしさ。その生命力の強さが、独特なグルーヴを生んでいます。
タイトル通りに。貧民窟からの、底辺からのブルースをその体験から実感と共に歌い奏でるデュプリー。
自らの出自。己が何ものであるか。そこから目を逸らさなかったからこその本物のブルースがここにあります。
故に決して暗いだけでなく。時に陽気でもあり。しかし決して浮つくこともないと。
自分は、そして自分の中のブルースは何処から来たのかを自覚しているものだけが持つリアルさがあるのです。
ところで。このアルバム'50年代のブルースのアルバムにしてはサウンドがクリアで各楽器がよく聴こえます。
エンジニアを務めたのがトム・ダウドなんですね。後の音の魔術師の片鱗が既に表れていたってことでしょうか。

自分は。
何ものなのか。
どんな人間で。
その程度のものでしかない。
あそこから来たのだから。

それは。
そいつは。
そのことだけは。
間違っても。
消し去ることは出来ないぞと。

いま。
何処にいられるのは。
何処まで来られたのは。
元を考えれば幸運以外のなにものでもないと。
心しておくんだ。

何処から来たのか。

そんなに。
大したものでは無いと。
ちっぽけなんだと。
吹けば飛ぶようなものだと。
清くも。
正しくも。
美しくも。
無いのだと。
ただただ。
這い蹲りながらも。
ここまで辿り着いただけで。
胸の内なぞ。
ドロドロと渦巻いているんだと。
そんなものなのだと。

何処から来たのか。

振り返り。
思いだし。
自覚して。
見つめて。
戒める時間があっていい。
否、なくてはならない。



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