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2015/01/10 Sat *ポニーテールとタータン・チェック / Bay City Rollers

20150110baycityrollersgreatesthits

A Long Time Ago In The Local Junior High School ...

授業後。
帰る支度をしてたら。
ドアがガラッと開いて。
あの娘が顔をのぞかせて。
キョロキョロと誰かを探してる。

やがて。
視線が定まると。
あの娘は一直線にやってきて。
がしっと僕の手首を掴んで一言。
「ちょっと来て」と立たせた。

有無ををも言わせない。
その迫力に。
手を引っ張られて。なすすべもなく。
「何なんだよ」と言いながらも。
その手の感触にちょっとドキドキしてた。

そんな僕に構わずに。
あの娘はポニーテールを揺らしながら進んでいく。
えっ、こっちに行ったら。
階段の踊り場になるじゃんよ。
これはさ、ひょっとして、ひょっとするのかな。

そんな淡い期待は。
一瞬にして吹き飛んだ。
階段の踊り場。
そこで一人の女の娘が泣いていた。
えっ?あれっ?もしかしてばれたかな。

「この娘がさ」とあの娘が言う。
「お、おう。どうしたん?」僕の声は震えてる。
「男に振られたんだって」
「あっ、そうなんだ。それで?」
「謝りなさいよ。慰めなさい」

ちょっと待ってくれ。
俺はこの女の娘を振ってないぞ。
そもそも。恋もしていない。
だってさ。俺が恋してるのは・・・
「女の娘が泣いてるんだよ。同じ男として慰めなさい」

身に覚えはない。
でも。
あの娘の目が真剣で。
しかも少し潤んでるのを。
見ちゃったらなぁ、しかたないよな・・・

『Greatest Hits』'77年リリース。
タータン旋風で世界中を席巻してたベイ・シティ・ローラーズ。
米国編集のアルバムから1曲を差し替え、2曲を追加した日本独自のベスト・アルバム。
今、考えても。あれは何だったんだってくらい。凄かったんですよね。タータン旋風。
日本でも。若い娘を中心に大人気で。日本のアイドルと同じ扱いだったもんなぁ。
同じクラスにもロックも、洋楽も聴かないけど。ベイ・シティ・ローラーズだけは大好きって。
そんな娘が何人もいて。タータンの下敷きとか筆箱とか。切り抜きも持ってきてて。
昼休みとかもキャーキャー騒いでて。何なんだと。確かにラジオとかで聴くとさ。そりゃね。
いい曲もあるけど。何なんだ。この世界はベイ・シティ・ローラーズを中心に回ってるみたいなのはと。
当時。キッス、クイーン、エアロスミスからロックにハマって。パープルやツェッペリンも聴き始めてたのかな。
そうなると。もともといじめっ子では無いけど、人をからかったり、ちょっかいを出すのは好きで。
しかも。ロックはハード・ロックだぜと思ってたので。ベイ・シティ・ローラーズ好きの女の娘なんて格好の餌食で。
ローラーズなんてどこがいいんだと、曲も書いてないし、演奏も他の人達がやってるんだぜとか。
まぁ、ドラムスのデレクは叩いてるかもだけど。デレクってゴリラみたいじゃん(失礼)どこがいいんだよと。
そうするとさ。むきになって反撃してくるんだよね。そんなことないもん!デレクだってカッコいいもん!とか。
終いには目に涙溜めて。ちゃんと本人達が演奏してるんだって手紙書いて確かめるから。
返事が来たら謝ってよねとか言いだしちゃって。あのね、スタジオ・ミュージシャンってのがね・・・まぁ、いいか。
結局、実質的には一年半くらいで熱狂的なブームは終わったのかな。潮が引く様に消えてっちゃったんだけど。
はい。で、時効でしょうから。白状しますけど。実は結構聴いてはいたんだよねベイ・シティ・ローラーズ。
「I Only Want To Be With You」とか「Saturday Night」とか好きだし。このアルバムの曲、全部知ってるし(苦笑)。

授業後。
階段の踊り場で。
泣いてる女の娘と。
心配して怒ってるあの娘。
その間でオロオロしてる僕。

「あのさぁ」と声をかける。
泣き声は止まらない。
「誰なんだよ。その振った奴って」
「○○君」と小さな声。
それは駄目だろう。あいつは女たらしだぜ。

横目であの娘を見る。
何とかしなさいと目で指示される。
「まぁ、その。何だよ。それはあいつが悪いよな」
「そう思う?」泣きながら問いかけてくる。
「そうだよ。お前を振るなんてさ。あいつが悪い、あいつが馬鹿」

悪いけど。この娘じゃな。
あいつは相手にしないよな。
あいつはもてるもんなぁ。
恋する相手が悪いよな。
あれ。ひょっとして・・・俺と同じかよ。

何だか急に。
泣いてる娘に親近感。
階段の踊り場。
一人で泣きたくもなるよな。
俺だって。体育館の壁蹴ったしな。

「そう、あいつが悪いよね」とあの娘が言う。
「お、おう。そりゃそうだな」まったく、悪いぞ。お前もな。
「忘れちゃえよ」
「でも、好きなんだもん。手紙も一杯書いたし」
「好きか。それはわかるけど」

ちょっと待ってくれ。
あいつ、この間その手紙捨てたよな。
そもそも。相手にされてない。
おいおい。ますます俺と同じなんじゃ・・・
「酷いよね。男ってさ。こんないい娘を泣かせて」

それを言うならだぞ。
でも。
あの娘の目は真剣で。
しかも泪がこぼれちゃってるのを。
見ちゃったらなぁ、しかたないよな・・・

「ほんと。ほんと。あいつが、男が悪い」
「ほんと。ほんとに。そう思う?」
「思う。思う。馬鹿だしな」
「男の子って私みたいなの嫌いだよね」
「そんなことないって」

「太ってるしさ」
「いや、健康的でいいじゃん」
「美人じゃないし」
「可愛いじゃん、俺は嫌いじゃないな」何を言ってるんだ。
「そうかなぁ」

「そうだって、直ぐにまたいい奴が表れるよ」
「だといいけど」難しいかなぁ。
「慰めてくれてありがとね」少し涙が止まったかな。
「おう、まぁ、大したことじゃねぇよ」
「あ、そうだ。あのさぁ」何だよその目は、まさか・・・

「もう。ローラーズの悪口とか・・・」
「あぁ、言わない、言わない」
「本当に?」
「あぁ、あんなのさ。冗談だろ、冗談」
「うん、約束ね」何でそんな約束までしてるんだ、俺は。

「でも、やっぱり、悲しい」また泣きだしちゃったよ。
「大丈夫だから、さぁ、帰ろう」あの娘が肩を抱きしめる。
「これからも。何かあったら言ってね」
「ありがとう。ありがとう」
「じゃ、ありがとね」あの娘が振り返って一言。

「お、おう」中途半端に手を上げて。
去っていく二人を見送る。
あの娘のポニーテールが揺れている。
まったくなぁ、敵わないよなぁ。
あのポニーテールには手が届かないよな。

昔むかし、地方のある中学校で・・・

だから。
未だに。
ポニーテールに弱いんだな。
綺麗で可愛くて。優しく男気(?)があって。
手が届かなかったからね・・・



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