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2015/03/15 Sun *聞えない / Mary Hopkin

20150315earthsong


静かだ。
否、静かすぎる。
何故だろう。
いま。
この窓を開けて。

人が。
通り過ぎる。
車も。
通り過ぎる。
街はいつものまま。

でも。
聞えない。
聞きたいものが。
聞えていたものが。
聞えないのだ。

空の。
囁きも。
風の。
呟きも。
空気の一人語りも。

確かに。
いつかの日には。
聞えてていた。
なのに。いま。
聞えない。

『Earth Song/Ocean Song』'71年リリース。
アップルの歌姫、メリー・ホプキンの2ndアルバム。
そのトラッドな内容は当時、驚きを持って迎えられたとか。
実はホプキンは元々ウェールズ出身で。トラッド等に惹かれていた少女で。
それが、ビートルズ、ポールの手によってアップルの歌姫に仕立て上げられたと。
それでアイドルとして成功した訳ですし。その路線のホプキンも好きではあるのですが。
彼女自身は相当にジレンマもあった様で。自身の意向を伝えるにも時間がかかったと。
でも。結局は自分の歌いたいことを歌いたいとのことで。路線を転向したと。
それを後押ししたのがこのアルバムをプロデュースしているトニー・ヴィスコンティで。
後にメリーはヴィスコンティと結婚しています。さて。ヴィスコンティと言えば。
T.レックスのプロデュースで有名だったりするのですが。このアルバムでは。
アルバム・タイトル通りに大地や海に寄りそう(邦題は『大地の歌』)ホプキンの歌声に対して。
アコースティック・ギターやストリングスを実に絶妙な具合に配置して。
その歌声を支えながらも。決して邪魔にはならないと言う見事な(愛情溢れる)手腕を発揮しています。
メリーのただ優しく繊細なだけでなく。時に大地や海をも思わせる力強い歌声。
そこには大地や海への愛情と共に。畏怖も感じられ。それらに語りかけ、それらの声を聞き。
一体になろうとする意志の感じられるものとなっています。その温かさが強張った心を解してくれます。
この時、未だ19歳だったホプキン。決してただの歌姫やアイドルでは無かったのですね。
商業的には失敗に終わり。今では顧みられることも少ないアルバムですが。
ホプキン自身は自らの作品の中で一番愛着があると語っているとか。うん。それだけの思いがこもっています。

静かだ。
否、静かすぎる。
何故だろう。
いま。
この街角で。

人の。
話し声。
車の。
排気音。
雑踏のざわめき。

でも。
聞えない。
聞きたいものが。
聞えていたものが。
聞えないのだ。

土の。
囁きも。
水の。
呟きも。
風たちのおしゃべりも。

確かに。
いつかの日には。
聞えてていた。
なのに。いま。
聞えない。

街にいるから。
都会にいるから。
そうじゃない。
それだけじゃない。
それだけだとは思えない。

いつの間にか。
空も。
風も。
空気も。
語らなくなってしまったのか。

いつの間にか。
土も。
水も。
風たちも。
口を閉ざしてしまったのか。

否。
違う。
自分が。
自分の。
心が体が。

彼等の。
声を。
聞けなくなってしまったのだ。
聞く力を失ってしまったのだ。
そう。もう長い間。

彼等の声に。
耳を傾けなくなっていたから。
無関心になっていたから。
大切なものを。
それを聞く力を失ってしまったのだ。

もう一度。
聞けるのだろうか。
彼等の声を。
笑い声を。
泣き声を。

聞えない。
聞えないんだ・・・



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