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2015/04/09 Thu *喪失と再生 / Emmylou Harris

20150409elitehotel


ある日。
突然。
目の前から。
誰かが。
消える。

なんの。
予告も無しに。
日常から。
誰かが。
去っていってしまう。

死は。誰にでも。
起こりうる。
事だと。
何れは誰もが。
避けられない事だと。

頭では。
理解しているつもりでも。
目の前に。
日常で。
その事を突き付けられると。

心が。
パニックを起こし。
心の一部分が壊死して。
二度とは。
元に戻らない。

喪失。

『Elite Hotel』'75年リリース。
エミルー・ハリスの再起後、2枚目となるアルバム。
アラバマ出身のエミルー。元々はフォーク・シンガーを目指していて。
ニューヨークへ出て。レコーディングも経験するものの成功には至らず。
失意のまま活動拠点をワシントンDCに移したところ。
偶々ツアーでやってきたフライング・ブリトー・ブラザーズのクリス・ヒルマンと出会って。
意気投合。そして。ヒルマンの紹介で。運命の相手と出会うこととなります。
それこそがフライング・ブリトー・ブラザーズを脱退してソロになったばかりのグラム・パーソンズで。
エミルーの凛として透き通った歌声を聴いたグラムはデュエット・パートナーとして即座に指名。
こうしてエミルーはグラムのソロ・アルバムに参加。ツアーにも同行して。
新たにカントリー・ロックの旗手であったグラムのパートナーとして成功への一歩を踏み出します。
ところが。'73年にグラムが薬物の過剰摂取で急死。エミルーのショックは並々ならぬもので。
一時は完全に引退を決意したんだとか。しかし交友のあったリンダ・ロンシュタット等の励ましもあって。
グラムの遺志を継ぐべく。復帰の道を選んで『Pieces of the Sky』を制作してシーンに返り咲き。
そしてこのアルバムが。グラム亡き後の、再起、再生した2枚目のアルバムとなったわけです。
ジャケットの凛とした姿、眼差しが物語る様に。恐らく、様々な葛藤を経て何かを覚悟して復帰したのでしょう。
(ヒルマンとの共作も含めて)グラムのナンバーを3曲も取り上げて。凛とした歌語で聴かせてくれます。
このただ透き通る様な美しさだけでなく、凛とした力強さも備えた歌声を得たことで。
この後、カントリー・ロックの歌姫として数々の成功を収めることになるエミルー、その再生の軌跡が。
捉えられているアルバムなのです(尤もエミルー自身は自分はカントリー・シンガーだと語っていますが)。

ある日。
突然。
目の前から。
消えてしまった。
誰か。

なんの。
予告も無しに。
日常から。
去っていってしまった。
誰か。

遺される。誰にでも。
起こりうる。
事だと。
その時は。
受け止めねばならないと。

頭では。
理解していたつもりでも。
目の前に。
日常で。
その時が訪れると。

心が。
パニックを起こし。
心の一部分が欠落して。
二度とは。
元に戻らない。

喪失。

誰もが。
誰かの。
心に。
夫々の。
痕跡を刻みつつ生きている。

当然。
夫々の。
痕跡は異なる。
故に。
壊死し欠落したら。

元に戻ることなど。
同じ欠片が当てはまることなど。
決して。
あり得はしないのだ・・・

しかし。
それでも。
生きている限り。
新たな出会いもあり。
新たな誰かが現れる。

それは。
かっての。
誰かでは。
無いけれど。
また新たな大切な誰かではある。

壊死し欠落したものが。
元には戻らない。
でも別の新たな何かが。
生まれて増殖していく。
そんなこともあるのだと。

そんなことに。
励まされ。勇気づけられ。
壊死を。欠落を抱えながらも。
誕生に。増殖に助けられながら。
誰かの遺志を継いだり、それを自分の意志に変えて。

そうして。
誰かを忘れず。
誰かと出会って。
今日も。
生きていくことも出来るのだ。

再生。

喪失と再生。
それを繰り返しながら。
その狭間にありながら。
這い蹲ってでも。
凛として生きていくことも必要なのだ。



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