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2015/09/12 Sat *親父、爺様、曾爺様、大親分 / Muddy Waters

20150912thebestofmuddywatersjp


その子が。
泥水を。
産湯に使ってでも。
生まれてこなかったら。
そうだな。

たぶん。
この世の中は。
まぁ。
今でも。
退屈で下らないけれど。

もっと。もっと。
どうしようもない。
世の中で。
何の救いもない。
そんな真っ暗闇だったかも。

無事に育った。
その子が。
綿花畑で働きながら。
歌い始めた時。
この世の中に。

今までにない。
新しい。
一筋の光が。
一つの希望が。
生まれたのだな。

そんなことは。
俺の知ったことじゃねぇやと。
あんたは。
照れ笑いを浮かべながら。
どんなもんだいと笑うのだろうな。

『The Best Of Muddy Waters』'69年リリース。
生誕100年を迎えた。ブルースの親分、マディ・ウォーターズ。
そのマディが(恐らく)日本で初めて紹介されたアルバム。
日本ビクターのブルース・シリーズの1枚として日本独自編集。
そして日本独自のジャケット。日本のブルース・ファンが待ち望んだアルバム。
数多くのファンが。繰り返し、繰り返し針を落とし。擦り切れるまで聴いたアルバム。
そのファンの中から日本のロック、ブルースの黎明期を支えたつわもの達が現れたと。
そう。だから。当然のことながら。マディは日本のブルースやロックの生みの親でもある。
内容は黄金のチェス時代。その’40年代末から’50年代中頃の録音から。
ヒット曲、名曲。選りすぐられたマディを象徴する12曲が収録されています。
今では同名のチェスのオリジナル・アルバムも日本盤で気軽に入手できるので。
先ずはそちらを聴くのが筋だとは思いますが(収録曲は殆どダブっているしね)。
この見事にマディのブルースの何たるかを描いたジャケットも含めて。
日本版の『The Best Of Muddy Waters』もチェスのオリジナル・アルバムに負けない。
日本が世界に誇るべきブルース・アルバムの名盤、傑作と呼んでもいいのではないかと。
確かオリジナル・アルバムが国内盤としてP-VINE初めてリリースされたのは十数年後で。
その年月を考えると。確かに今では価値を見出しにくいアルバムであったとしても。
その功績は。多大なるものとして称賛され、記憶されるに値するものだと思うのです。
改めて聴くと。ストレートで、エロくて、エグくて、真っ黒なマディのブルース。
しかし。そこに戦後のシカゴ・ブルースならではの洒脱な感覚も持ち合わせていて。
だからこそ。ゲットーの黒人達だけでなく。海を渡って英国の若者達の。
そして。この東洋の島国の若者達のアンテナにも引っ掛かって。燻る魂に火をつけたと。
そこから生まれ。今に続く。延々と転がり続けているものから我々が受けた恩恵。
それを思う時。マディの偉大さに改めて、敬意を払い。謝意を伝えたくなるのです。

その男が。
煮え湯を。
飲まされながらも。
転がり続けなかったら。
そうだな。

たぶん。
この世の中は。
まぁ。
未だに。
退屈で下らないままで。

もっと。もっと。
どうしようもない。
世の中のままで。
何の救いもない。
お先真っ暗な世の中だったかも。

綿花畑から脱け出した。
その男が。
シカゴの街角で。
歌い始めた時。
この世の中に。

今までにない。
新しい。
一筋の光が。
一つの希望が。
輝き始めたのだな。

そんなことは。
俺は考えたこともねぇやと。
あんたは。
正直に振り返りながら。
大したものだろうと胸を張るのだろうな。

凍てつく。
シカゴの街角。
その片隅から。
転がり始めて。
やがてアメリカ中を転がり、転がして。

苔むす暇もないくらい。
街から街へと転がりながら。
エロくて、エグくて。
でも。ストレートな思いを。
熱く叫びながら。転がり続けて。

やがては。
海をも渡り。
世界を股にかけて。
種をつけながら.
転がって。転がり続けて。

気がついたら。
世界の。
あらゆる。
街角と言う街角に。
子供が生まれていて。

親譲りの。
時には親以上の。
エロくて、エグくて、ストレートな。
子供達も。
世界に向かって熱く叫びながら。

親の背を追う様に。
その魂を引き継ぐ様に。
世界を股にかけて。
種をつけながら。
転がって。転がり続けて。

今じゃ。
世界中の街角で。
その親の。
子供達が。孫達が。曾孫達が。
世界に向かって熱く叫んでいる。

それが。
退屈で下らない世界に。
残された。
最後の。唯一の。
希望になろうとしている。

そうかい。
俺も少しは世の中の役に立ったみてぇだなと。
あんたは。
皮肉交じりに笑いながらも。
親父の。祖父の。曽祖父の顔を見せるのだろうな。

親父。
爺様。
曾爺様。
大親分。
ありがとう。俺達もまだまだ転がり続けるぜ。



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