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2015/09/19 Sat *悪夢が来たりて / J. Geils Band

20150919nightmaresukorg


追われる。
追い詰められる。
必死に。
逃げる。
逃げているのだが。

何故か。
足が空回り。
気持ちだけ前へ。
身体がついてこない。
もどかしい、なんてものじゃない。

探す。
出口を探す。
必死に。
見回す。
見回しているのだが。

何故か。
どの扉も。塞がっている。
どのエレベーターも。上がってこない。
どの回廊も。迷路になっている。
焦る、なんてものじゃない。

いつの間にか。
繋いでいた手が離れている。
手を繋いでいたあの娘が消えている。
なのに。誰かがしがみついている。
混乱する、なんてものじゃない。

遂に。
行き止まり。
袋小路。
断崖絶壁。
それでも。観念する気にはなれない・・・

『Nightmares…And Other Tales From The Vinyl Jungle』'74年リリース。
何やら不気味で意味あり気なタイトルとジャケットが嫌でも印象に残る。
そんなJ.ガイルズ・バンドのアルバム。何だか“らしくない”気がしもするのですが。
'70年代中頃は。他のアルバムでもジャケットに趣向をこらしていたりもしますし。
何よりも。肝心の中味は。いつものJ.ガイルズ・バンドなので。いいんですけどね。
(当時の邦題は『悪夢とヴィニール・ジャングル』だったかな。B級ホラーだなぁ・・・)
さて。'70年代中頃、アトランティック時代のJ.ガイルズ・バンドとくれば。
そりゃもう、ブルースやソウルをベースにした御機嫌なロックンロールをビシッと決めて。
そのダンディで男臭いカッコ良さったら、他の追随を許さないところがあったんですよね。
しかし。ライヴは大評判で。ライヴ・アルバムはそれなりに売れるんだけど。
どうも。オリジナル・アルバムがいま一つセールス的には伸び悩み続けて。それが原因で。
後にEMIに移籍して。だんだんと。洗練され過ぎちゃって。大ヒットは放ったものの。
毒にも薬にもならないサウンドに嫌気がさしたピーター・ウルフが脱退。やがて解散と。
遡って考えると。このバリバリにカッコいい時代に何故か売れなかったのが不幸の始まり。
既に悪夢は忍び寄っていたと。まったく洒落にもなりゃしないってのはこう言うことかな。
中身はね。くどいですけど。カッコいいんですよ。もう、最高に御機嫌でね。
針を落としてA面頭の「Detroit Breakdown」が始まった瞬間に勝負ありってくらいににね。
「Must Of Got Lost」なんてのもいいしね。よくストーンズと比較されてましたが。
ハッキリ言うと。ストーンズと比較したらスケールは落ちる、その面ではB級バンド。
でも。同時期のストーンズに無いB級ならではの。決め過ぎなくらいの洒落者の小粋さ。
街角の顔役のカッコ良さがね。この頃のJ.ガイルズ・バンドには満ち溢れているのです。
そのフロントで歌もMCもアクションも抜群の伊達男だったのがピーターで。
あのフェイ・ダナウェイを落としたんですからね。それだけで。そのカッコ良さは保証付きってもんです。

追う。
追い詰める。
必死に。
走る。
走っているのだが。

何故か。
足がもつれて。
背中が見えていたのに。
距離が遠のいていく。
もどかしい、なんてものじゃない。

探す。
行方を探す。
必死に。
見回す。
見回しているのだが。

何故か。
どの部屋にも。そいつはいない。
どのエレベーターからも。出てこない。
どの回廊を。何周しても影も見えない。
焦る、なんてものじゃない。

いつの間にか。
聞えていた声が消えている。
共に追っていたあの娘が消えている。
なのに。何処かから笑い声がする。
混乱する、なんてものじゃない。

遂に。
行き止まり。
袋小路。
断崖絶壁。
それでも。諦念する気にはなれなくて・・・

追いつかれてたまるか。
絶対に逃げてみせる。
出口を見つけて。
エレベーターに乗って。
回廊を抜けて。出口を開けて。

あの娘の手を離さずに。
あの娘を見失わずに。
そいつから。
その手から。
逃げおおせてみせる。なのに・・・

追いついてみせる。
絶対に捕まえてみせる。
影を見つけて。
エレベーターから降りてきたところを。
回廊を走っているところを。抑えてやる。

あの娘と共に。
あの娘を見失わずに。
そいつを。
その手を。
掴んでみせる。なのに・・・

気づくと。
誰もいない。
あの娘も。
そいつも。
闇の中にただ一人。

薄明り。
笑い声。
その扉を。
開けたいのに。
手が滑って力が入らない。

ふっと。
扉が開いて。
一瞬、何かが過ぎって。
次の瞬間。
あっ!あぁっ!あぁぁっ・・・

そいつの足音。
そいつの背中。
あの娘の手の感触。
あの娘の笑い声。
あの娘の白い肌と・・・

夢で良かった。
ほっと一息。
もう一度。
寝ようとして。
躊躇する。

白い肌だけならいいのだけれど・・・



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