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2015/11/06 Fri *独りなのだから / Ron Wood

20151106ivegotmyownalbumtodo


その思いは。
その考えは。
今も。
変わることなく。
自分の根源にある。

独りなのだと。

何処でも。
いつでも。
誰といても。
とどのつまりは。
独りなのだと。

どんなに。
心安らぐ空間であっても。
どんなに。
気の置けない間柄であっても。
消えるのだと。いなくなるのだと。

いつもの夜。
いつもの会話。
いつもの笑顔。
じゃぁ、またねと。
扉を閉めた。

その時には。もう決意していたのだろう。
またね、の。そのまたは。その日は。
二度と訪れることは無いと。
これが永遠の別れになると。
なんて、残酷な。またね、だったのだろう。

共にあって。
共に心安らいで。
共に気を置けないで。
それでも。そんな別れもあるのだ。できるのだと。
そうか。やっぱり。俺は間違っていなかったと思い知らされた。

独りなのだと。

『I’ve Got My Own Album To Do』'74年リリース。
邦題『俺と仲間』がなんとも、その内容を言い当てているロン・ウッドの1stソロ・アルバム。
当時はフェイセスのメンバーだったロン。ストーンズとの親交も既に深くて。
そのフェイセス、ストーンズのメンバーが大挙して参加。ミックとロッドはロンとデュエットを披露し。
キースに至っては、他人様のアルバムでリード・ヴォーカルをとると言う暴挙(?)に出ています。
何でもデヴィッド・ボウイも参加していて。ストーンズの「It’s Only Rock ‘N Roll」の原曲はその際に録音されたとか。
録音はロンの自宅だかスタジオで行われて。キースなんかは居座っちゃって。スタジオ代より酒代が嵩んだと。
そんな。如何にも陽性な、誰からも好かれる、誰をも仲間にしてしまうロンの人柄が素直に表れたアルバムで。
針を落とすと。ロックンロールだ、ソウルだとか言う前に。その居心地の良い空気の匂い。
心安らぐ空間で、気の置けない連中が集まって音楽を楽しんでいる。その匂いが堪らないアルバムなのです。
そうそう。後にその名を轟かす、ウィリー・ウィークスとアンディ・ニューマーク。そのリズム隊も。
このアルバムでの録音時で初めて組んでいるのですよね。あの御機嫌なうねりと弾みの生みの親はロンだったと。
このアルバムを聴いてスティーヴ・ウィンウッドが自身のソロ・アルバムで起用して名声が広まったと。
キースに言わせると、ロンは最高のカウンセラーで、死にたい奴はロンに会えばその気も失せるらしいですが。
何の根拠もありませんが。このアルバムを聴いていると。そうかも知れないなと感じたりもして。
大体、アルバム・タイトルでやっと俺のアルバムを創ったぜと、そう高らかに宣言しながらも。
キースにリード・ヴォーカルをとらせてしまう。普通はしないよなと、思いつきもしないよなと。
それだけ。ロンにとっても。録音の過程が、本当に楽しくてしかたのないアルバムだったのだろうなと。
スタジオ代と酒代を考えると。恐ろしくもなるのですが(笑)、そんなことなど問題外だったのでしょうね。
決して、ロック史に残る名盤とか傑作ではありませんが。ロック史上、これだけ陽気で御機嫌なアルバムも無いだろうと。
記録では無くて、聴く者の心に、記憶に残り続けるアルバムであると。そう確信して止まないのです。
一度、針を落とすと。いつまでも、その空気に、匂いに包まれていたくなってしまうのです。

その思いは。
その考えは。
この先も。
変わることなく。
自分の根源にあり続けるだろう。

独りなのだと。

何処へ行っても。
いつであっても。
誰と出逢っても。
とどのつまりは。
独りなのだと。

どんなに。
心安らぐ空間を見つけても。
どんなに。
気の置けない間柄になったとしても。
消えるのだと。いなくなるのだと。

ある夜。
いつもの会話。
いつもの笑顔。
じゃぁ、またねと。
扉を閉めて。手を振って。

その時には。わからなくても。
またね、の。そのまたは。その日は。
二度と訪れることは無いこともあるのだと。
それが永遠の別れになることもあるのだと。
なんて、残酷な。またね、が存在することを。

共にあって。
共に心安らいで。
共に気を置けないで。
それでも。そんな別れもあるのだ。起きてしまうのだと。
そうさ。やっぱり。俺は間違っていないのだと確信してしまっている。

独りなのだと。

消えるのだ。
いなくなるのだ。
ある日突然。
何の前触れも無く。
空間も、人も、空気も、匂いも。

そして。
その残り香の中に。
とり残されて。
もがき苦しむのだ。
苛まれ続けるのだ。

独りなのだと。

その残り香が。
強ければ強いほど。
どうしようもなく。
打ちのめされて。
蹲ってしまう。

誰にも誰かの代わりはできない。
残された匂いは。
失われた欠片は。
抉られた傷口は。
他の誰にも埋められはしないのだ。

残り香の中。
歪に欠けた心を抱えて。
傷口から血を流し続けて。
年を経る程。歳を重ねる程。
堪えられなくなっている。

独りなのだ。

なのに。
悪戯好きの何ものかが。
偶然を装って。
必然の出逢いを。
忘れた頃に、また仕組みやがる。

心、安らげば、安らぐほど。
気、置けなければ、置けないほど。
愛すれば、愛するほど。
ふと、慄然とするのだ。
また、新たな喪失の始まりに過ぎないではないかと。

独りなのだ。

それでも。
性懲りも無く。
その仕組まれた悪戯に。
乗ってしまう。
そうさ、もうここまで来てしまったのだ。

濃厚な残り香の中で。
最後の一片になって崩れ落ちて。
溢れ出た血だまりの中で溺れて。
朽ち果てる。その覚悟を決めていればいいのだから。
独りなのだから。



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