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2015/12/03 Thu *感謝と呪詛 / Fred McDowell

20151203amazinggrace


感謝しよう。
ここまでの。
道程の。
その時々での。
出逢いに。

忘れられない。
人達と。
出逢えた。
それが。
天命によるものだと。

そうであるならば。
神も仏も。
信じるつもりはないが。
その運命を。
命の、魂の邂逅を与えてくれたものに。

感謝しよう。
ここまでの。
道程の。
その時々での。
出逢いが無ければ。

出逢った人々との。
触れ合いが無ければ。
出逢った人々に。
助けられなければ。
救われなければ。

いま。
ここに。
自分など。
存在し得なかった。
辿り着けなかったのだから。

『Amazing Grace』'66年リリース。
ミシシッピー・ブルース・マン、フレッド・マクダウェル。
そのマクダウェルが奥方も含む女性コーラス・グループと共に録音したアルバム。
マクダウェルが聖歌をと。疑問を感じられる方々もいらっしゃるとは思いますが。
聖歌が、黒人霊歌(ゴスペル)になり、更にブルースへと発展した過程を考えると。
更に言えば。特にマクダウェルの様に所謂“再発見”されるまでは。
農夫を生業としながら。一日の労働の終わりや週末にギターを奏で、歌っていた者にとって。
その音楽は、歌は。聖歌であれ、黒人霊歌であれ、ブルースであれ違いはなかったと。
感謝する、あるいは愚痴る相手は神様であれ、悪魔であれ、どちらでも良かったのではと。
それこそ。人生色々。男も色々。女も色々。日々、いいこともあれば。悪いこともあって。
その度に喜んだり、悲しんだり。悲喜交々。人生、糾える縄の如しで。
その度に神様に感謝したり、悪魔を呪ったり。偶には神様に毒づいたり、悪魔と握手したり。
そんなことの繰り返しで。常にその場には、その傍らには音楽があり、歌があったと。
そんなものではなかったかと。当然、そこには出逢いもあれば、別離もあって。
「Amazing Grace」の様に加護を祈り、加護に感謝する歌もあれば。
「You Gotta A Move」の様に悟りを語り、運命に対する諦念を言い聞かせる歌もあると。
その心からの思い、魂の叫びには。ジャンルなど関係なかった、意識もしていなかった。
そんな日常と分かち難い、密接した音楽、歌こそがブルースとも言えますけどね。
従って、このアルバムではコーラス・グループが参加しているとは言え。
一般的なゴスペルのアルバムで聴けるようなコール&レスポンスによる昂揚感はなく。
寧ろ、マクダウェルのギターもコーラス隊も淡々とただ奏で、歌っていると。
しかし。だからこそ。ここに日々の、日常の。更に言えば人生と言う営みの道程における。
感謝や呪詛。そんな人としての根源的な感情が感じられて。聴き入ってしまうのです。

呪詛しよう。
ここまでの。
道程の。
その時々での。
お別れに。

忘れられない。
人達と。
引き裂かれた。
それが。
天命によるものだと。

そうであるならば。
神も仏も。
信じるつもりはないが。
その運命を。
命の、魂の永訣を与えたものを。

呪詛しよう。
ここまでの。
道程の。
その時々での。
別れが無ければ。

出逢った人々との。
永訣が無ければ。
出逢った人々と。
今も共にあれたのならば。
触れ合えたのならば。

いま。
ここにいる。
自分の。
塞がらぬ傷口も。
取り戻せぬ欠損もなかったのだから。

出逢いへの。
感謝。
別れへの。
呪詛。
綯交ぜに繰り返しながら。

感謝の。
思い。言葉。
呪詛の。
思い。言葉。
どちらも。消え去りはしない。

ただ。
塞がらぬ傷口。
止まらない血。
戻らない欠損。
埋まらない喪失感。

そいつが。
年々。
色を濃くし。
何故との疑問が。
つきまとう。

故に。
制御を失い。
呪詛を唱え。
天に唾する。
日々が増えていく。

それでも。
出逢えたことの。
幸せが。
出逢いがもたらしてくれたものの。
大きさが。

いま。
ここに。
自分を。
存在させているのだと。
導いてくれたのだと知っている。

それでも。
尚。
感謝より。
呪詛が勝ってしまう。
それは。

自分にも。
その時が近づいているのだと。
再び。彼等に会えるのだとの。
思いに。感傷に。誘惑に。
支配されつつあるからなのか。

今日も。
今夜も。
感謝と呪詛の。
狭間で揺れながら。
グラスを傾け。歌を口ずさむのだ。



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