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2015/12/11 Fri *主人公 / The Kinks

20151211showbiz


毎日。
昨日も。
今日も。
明日も。
その先も。

いい日ばかり。
そんなわけもなく。
それなりに。
沈むこともあれば。
堕ちることもある。

それでも。
なんとか。
なんとなく。
浮くこともあれば。
堕ちきらずに止まって。

気付くと。
それなりに。
なんとはなしに。
乗り切って。
一日が終わる。

それを。
繰り返しているうちに。
一週間が過ぎ。
一ヶ月が過ぎ。
一年が過ぎで。

結局。
英雄にも。悪漢にも。
なれずに。
ただ。過ぎ行く自分の日々の。
その平凡な主人公でしかない。

『Everybody's in Show-Biz』'72年リリース。
RCA移籍後2枚目にして、初の2枚組となったキンクスのアルバム。
1枚目がスタジオ録音。2枚目がカネーギー・ホールでのライヴ録音となっていて。
当初、ライヴは映画化の企画があったのですが。結局、ボツになってしまって。
それでスタジオ録音と合わせての2枚組アルバムになったのだとか。
当時のキンクス。キャリアは重ねていたものの。一時期米国への出入りが禁止された影響が後を引いてか。
商業的な成功とはどんどんと縁遠くなっていて。良質な作品を作っても世間は受け入れてくれないと。
だったら。もう好きな様にやるだけと。レイ・ディヴィスが腹を括ってしまったのがこの頃だったかと。
何故かホーン・セクションも正式メンバーとして加入させて。理想の音の実現に邁進して。
ロックスターのツアーの華やかなツアーの日々と、退屈な日常を描くと言うコンセプトの基に。
緩く、美しく、そして当然の様に捻くれたメロディーに溢れたスタジオ録音の素晴らしさ。
ストレートではない、一捻りも二捻りもあるカッコ良さと物悲しさ。これを好きになれるかどうか。
そこがキンクスを、レイを好きでいられるかどうかの境界線であると。それが明確に示されたアルバムかな。
ストレートなロックンロールではないものの。心に引っ掛るメロディーが多くて。「Celluloid Heroes」なんて。
アルバムの邦題『この世はすべてショー・ビジネス』、その主題である総ての人々が自分の人生の主人公。
故に、体験せざるを得ない悲喜交々を美しく、そして切なく描き歌い上げていて。
その詩の世界も含めて。流石はレイだよなと。思わず唸らされて。聴き入ってしまうのです。
ライヴにもホーン・セクションが参加していて。この頃のキンクスってメンバーが何人いたのって感じですが。
そちらは緩いながらもハードなロックンロール・バンドとしての顔も覗かせてはいて。
前作『 Muswell Hillbillies 』からのナンバーの気合の入った演奏なんてなかなかご機嫌ではあります。
ただ。やはり。余りにも独特の世界ですからね。ついていけないねと反感を感じた人達もいたと思われて。
その先鋒が弟のデイヴ・ディヴイスだったところにキンクスの悲劇があったかなと。それもまた人生ですが。

毎日。
昨日も。
今日も。
明日も。
その先も。

悪い日ばかり。
そんなわけもなく。
それなりに。
上がることもあれば。
昂ることもある。

それでも。
なんだか。
なんとはなく。
下がることもあれば。
昇り切らずに止まって。

気付くと。
それなりで。
なんともなしに。
乗り切れずに。
一日が終わる。

それを。
繰り返しているうちに。
春と思えば夏が来て。
夏と思えば秋が来て。
所詮。最後は寒い冬で。

結局。
正義の味方にも。悪の首領にも。
なれずに。
ただ。流れ行く自分の日々の。
その平凡な主人公でしかない。

英雄でも。
悪漢でもなく。
正義の味方でも。
悪の首領でもなく。
それでも主人公。

しかも。
どんなに平凡で。
どんなに退屈で。
飽き飽きしても。
嫌気がさしても。

その最期まで。
降板を許されない。
いい日も。
悪い日も。
それなりに演じ切らねばならない。

罵声を浴びることもなく。
さりとて。
歓声に包まれるでもなく。
自分以外には。
誰の目に留まることもなく。
それでも演じ続けねばならない。

その程度の。
主人公。
その程度でも。
主人公。
たかが主人公。されど主人公。

平々凡々。
連綿と続く時の中の。
一瞬の堕落。
一瞬の歓喜。
それを我がものとして味わえるのは。
主人公である自分だけ。
それだけを支えに。
大化けもせずに。
奈落にも落ちずに。
退屈と馴れ合う。

それが。
出来る。
それが。
許される。
それだけで。幸せなのだろう。

野望の種火は嫉妬として燻ってはいるけれど。



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