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2015/12/12 Sat *偽りのあの頃 / Jane Barkin

20151212exfandessixties


懐かしき。
あの頃。
あの日々。
あの時。
あの瞬間。

いつまでも。
色褪せることなく。
胸の内にあり。
いつでも。
鮮明に蘇らせる。

時には。
今を離れ。
現実を逃れ。
懐かしき。
輝きの日々に遊ぶ。

しかし。
そう。
本当は。
知っている。
そんな輝きの日々など嘘であると。

懐かしき。
あの頃。
あの日々。
あの時。
あの瞬間。

時の経過の中で。
その輝きを。自らの手で。
脚色していると。
否。
最早、創造すらしているのだと。

『Ex Fan Des Sixties』'78年リリース。
ジェーン・バーキンの3枚目のソロ・アルバム。
当時の邦題は『想い出のロックン・ローラー』だったとか。
これはタイトル・ナンバー、「Ex Fan Des Sixties」の歌詞の中に。
ジェーンが好きだったと思われる'60年代のロック・スター達の名前。
ブライアン・ジョーンズ、ジョン・レノン、ドアーズ、ジム・モリソン、T.レックス等々。
その綺羅星の如き名前が織り込まれていたことからの発想だと思われます。
ジェーンにとっては懐かしい、あの頃、スウィンギン・ロンドンを歌っているのかな。
フランス盤しか所持していないので。歌詞の詳細はわからないのですけどね。
ジェーンは歌いこなすのに苦労したみたいで。数十回もテイクを重ねたのだとか。
そんな鬼の如き仕打ちを強いたのは勿論、セルジュ・ゲーンズブルで。
当然と言えば当然ながら。制作から作詞、作曲まで総てセルジュによるものです。
ジェーンにとってセルジュが特別な存在であることはわかっていても。
どうにも。その。密着ぶりと言うか、熱心ではなくて熱烈な歌唱指導とかを想像すると。
その才能は認めつつも。どうしてもセルジュが憎くて、炎がメラメラと燃え盛るのですが。
ジェーンの少し舌足らずな歌声を聴いていると。それは愛しくて、懐かしくもあって。
勝手にタイム・スリップして。あの頃の空気をジェーンと共に味わっている気分で。
そして。ジャケットのジェーンに見惚れてしまうのですが。ふと、ですね。
セルジュの顔が浮かんできて。気分を害されるのですね。邪魔をするなよと。
そうやって妄想の中で、懐かしき輝き日々を愛しく思ってジェーンの歌声に酔いしれて。
でも。その歌声も。その囁きも。自分に向けられたものでは無いのだと。
現実に引き戻される度に。セルジュへの憎悪が、募っていくアルバムでもあります(笑)。

懐かしき。
あの頃の。
あの街角。
あの時の。
あの路地裏。

いつまでも。
消え去ることなく。
胸の内にあり。
ふとした時に。
鮮明に蘇ってみせる。

しばしば。
今を消し去り。
現実から遠く離れ。
懐かしき。
輝きの街角に遊ぶ。

しかし。
そう。
本当は。
知っている。
そんな輝きの街角など嘘であると。

懐かしき。
あの頃の。
あの街角。
あの時の。
あの路地裏。

時の経過の中で。
その輝きを。自らの手で。
脚色していると。
否。
最早、創造すらしているのだと。

懐かしき。
あの頃。
あの日々。
あの時。
あの瞬間。

楽しかった。
毎日が祭りみたいで。
陽気に。
騒いで。
何の心配も無いが如く駆け抜けた。

愛しかった。
毎日が小説みたいで。
熱気に。
浮かれて。
何の恐れも無いが如く誰かと恋に落ちた。

でも。
知ってはいた。
祭りにも。小説にも。
終りはあると。終りが来ると。
共犯者の如く隠している、そんな思いが。

何かの。
弾みで。
弾けてしまえば。
喧嘩もした。殴り合いもした。
傷つけて。傷つけられて。

いい出逢いもあれば。
悲しい別れもあった。
誰かを愛せば。誰かを妬み。
道化師を演じてでも保とうとして。
根性が続かなくて退場もした。

懐かしき。
あの頃の。
あの街角。
あの時の。
あの路地裏。

楽しかった。
毎日が祝われているみたいで。
馬鹿みたいに。
騒ぎながら。
何かに追われるが如くに駆け抜けた。

愛しかった。
毎日が映画みたいで。
活気に。
導かれて。
何の恐れも無いが如く誰かれと議論した。

でも。
知ってはいた。
祝いにも。映画にも。
終りはあると。終りが来ると。
共犯者の如く抱いている、そんな思いが。

何かの。
弾みで。
溢れてしまえば。
喧嘩もした。罵倒もした。
傷つけて。傷つけられて。

出逢いがあれば。
別れも必ずやってくる。
誰かを愛するほど。誰かを妬みほど。
傍観者として客席から観ていようとして。
嫉妬に駆られて退場もした。

そんな。
あの頃が。
あの日々が。
あの場所が。
美しいわけがない。懐かしいわけがない。

それでも。
あの頃の。
あの日々の。
あの思いが。
真剣で、真実であったのなら。

その結果としての。
今を受け止めながら。
脚色した、創造した。
偽りのあの頃に。
思いを馳せるくらいは許してくれないだろうか。



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