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2015/12/18 Fri *毎年恒例 / Keith Richards

20151218crosseyedheart


旦那。
おう、お前か。
お久しぶりで。
一年振りか。てことは、あれだな。
へい。お誕生日、おめでとうございます。
おう、まぁ、めでてぇって言えばめでてぇな。

おいくつになれらましたかは?
おう、その七十と二だろう。
おっ、覚えているじゃないですか。
馬鹿野郎、手前の歳ぐらい当たり前だろう。
流石は旦那だ。未だ惚けちゃいらっしゃらないですな。
おう、その、なんだよ。俺なんざぁ、まだまだ若手ってもんだよ。

ヒョッコだと?
馬鹿野郎。ヒヨッコとは何でぃ、ヒヨッコとは。
す、すいやせん。
B.B.とかチャックと比べたら、って話だよ。
そ、そうでやすね。でも旦那もかなりのものかと。
お、そうか。お前もわかる様になってきたじゃねぇか。

しかし。あれですよ、旦那。
どれだよ?
二十三振りのソロ・アルバムってやつですよ。
おう、どうでぃ。気に入ってくれたかい?
いやぁ、この歳にして・・・御見それしやした。
馬鹿野郎、あれだよ。おれは大器晩成だからな。

随分な晩成でござんすねぇ。
まぁ、ちょいと。間を開けすぎちまったけどな。
そうですぜ。旦那。どれだけ待たされ、待ち侘びたことか。
すまねぇなぁ。そいつは。俺も色々と忙しくてなぁ。
いやぁ、でも。待った甲斐があったってもんでさぁ。
おっ、そうかい。そいつは嬉しいねぇ。
そんじょそこらの。連中には弾けねぇってか。出せねぇってかね。
おう、当たり前でぃ。そんじょそこらの連中と一緒にするんじゃねぇやな。

『Crosseyed Heart』'15年リリース。
キース・リチャーズの実に23年振りとなるソロ・アルバム。
オリジナル・アルバムとしては3枚目、ライヴ・アルバムも含めると4枚目。
2枚組で全15曲に渡って展開されるキースならではの世界。
そいつと。じっくりと膝を合せて対峙できる。そんな親近感をも感じさせる。
深い味わいと親しみに満ちたアルバム。針を落として。「Crosseyed heart」が聴こえてくる。
その弾き語りによる繊細で且つ生々しい感触。そいつに触れた瞬間、包まれた瞬間。
このアルバムが傑物であり、特別なものだと思い知らされる。そんなアルバム。
もう、それ以上は語る必要も、述べる必要も無いかなと。
そうだなぁ、こいつを嫌いだって人とは友達にはなれない。そんなアルバムが1枚増えたと。
勿論、きちんとした計画の下に制作されたのであろうし。最新のテクノロジーも使われているだろうし。
しかし。このアルバムの要はそんなところには無くて。キースが弾いて歌っている。
その味わいや深さ、更には凄味といったものを。それを如何に手垢に塗れさせずに届けるか。
そのことに成功している、その一点にあって。見事にそれに成功しているからこその、このアルバムだと。
計画やテクノロジーはその為の一手段、一助にしか過ぎないのだと。
そんなことを思わされるのは。やはり。ここに今のキースのリアルが感じられるからなのか。
そう。どこをどう切り取っても。どこから味わっても。今の、今そこで転がり続けているキースの。
その息遣いや思いまでもが届けられる、感じられるかの如くのギターと歌声。
そして。それを温かく支えながら。決して邪魔をしないバンドとしてのサウンドも実に心得ていて。
ここらはキースと共にプロデュースも行っているスティーヴ・ジョーダンの貢献も大きいのだろうなと。
敢えて言えば。荒削りな『Talk Is Cheap』に対して、練り込まれたこのアルバムとも感じられて。
ロックンロールにカントリーにソウルにファンクにと。キースの吸収し積み上げてきた豊富な抽斗。
そいつを。綿密に計算して様々に引き出しながらもキースの色の下に並べてみせたと。
それが計算に感じられないのがスティーヴの才能と、キースの資質の鮮やかな融合の賜物なのだろうと。

旦那。
おう、なんでぃ。
こうなったら、ここはひとつ。あれですよ。
ひとつ。あれって、なんなんだよ。
へい。ソロでツアーに出てみちゃどうですかい?
おう、まぁ、その考えねぇでもないっちゃ、ないんだけどよ。

なんです?歯切れが悪くありませんかい。
おう、そこはよ。そのなんだよ。わかるだろ?
いや、わかりませんが・・・
馬鹿野郎、手前だったら察しはついているんだろうが。
流石は旦那だ。お惚けは通用しねぇってことですな。
おう、その、なんだよ。ほら、俺の一存ってぇ訳にもいかねぇだろうが。

社長ですかい?
馬鹿野郎。あんな野郎は社長でも、サーでもねぇんだよ。
す、すいやせん。
まぁ、幼馴染の誼でよ。あいつの意向も聞いてやらねぇとな。
そ、そうでやすね。旦那も苦労が絶えませんねぇ。
お、なんだ。お前も随分とわかる様になってきたじゃねぇか。

しかし。あれですよ、旦那。
どれだよ?
折角の二十三振りのソロ・アルバム。しかも傑物ですよ。
おう、そりゃぁよ。当たり前でぇ。気合が違わぁな、気合が。
いやぁ、それを携えてツアーしねぇって手はないでしょうよ。
馬鹿野郎、だから。あれだよ。俺だって。あれなんだよ。

ちょいと気を遣いすぎなんじゃねぇですか。
おぅ、そうか。いや、俺もそう思わねぇでもねぇんだが。
そうですぜ。旦那。社長だって、前科があるんですから。
そういやぁ、ストーンズよりもソロにのめり込んでやがったなぁ・・・
そうざんすよ、だから、旦那も遠慮なんかすることねぇんですよ。
おっ、そうかい。お前もそうおもうかい。そうかい、そうかい。
ここはあれですよ。来年は旦那がソロでツアーして、来日してと。
おう、そうだな。お前の国じゃ、俺の人気も捨てたものでもねぇしな。

よし。決まりだ。旦那、桜の頃に来日ってことで。
おぅ、だけどよ。ストーンズのレコーディングもあるからよ。
ですから、そいつは。あれですよ。いつもの手癖でパパッと済ませてですね。
馬鹿野郎、手癖ったぁなんだ、手癖とは。
おっと、失礼しやした。いつもの伝統芸でビシッと決めてですよ。
おう、それなら、まぁ、まだフレーズもリフも手持ちはあるな。

ですから。そいつを駆使して。パパッと済ませてですねぇ。
それはいいけど。お前、アルバムに合わせてストーンズのツアーもだなぁ・・・
ですから。そこでリベンジですよ、リベンジ。
リベンジってことは、その、なんだよ、あれかい?
そうです。今度は旦那が、自分のソロを優先するんですよ。
そうか、そうだなぁ、そうすりゃ、あいつの吠え面も拝めるかもしれねぇなぁ。

どうです。旦那?
う~ん、それもいい、いいっちゃいいなぁ。
でやしょ。こいつは決まりですな旦那。
おう、ところでお前はストーンズと俺のソロとどっちが好きなんだよ?
嫌ですねぇ、旦那。そいつは野暮ってもんですぜ。ちょいとお耳を・・・
おっ、なんでぇ、そうか、それなら俺と一緒じゃねぇか。よし、飲もう。今夜は飲み明かすぞ。

旦那、お誕生日、おめでとうございます。



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