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2016/01/07 Thu *風の中 / The Byrds

20160107sweetheartofrodeousorg


風の中。
ふと。
立ち止まる。
いま。
すれ違ったのは。

あの人では。
あの娘では。
なかったか。
風の中。
気配を探す。

そんなわけが。
あるはずはないのは。
十分に理解している。
だが。風の中。
見てしまう時がある。

いまの。
生活に。
状況に。
特段の不満があるわけではない。
だが。一部の欠落がないわけでもない。

風の中。
ふと。
その欠落を。その隙間を。
埋めるものを。
探し求めているのか。

いるはずのない。
人の。娘の。
気配に触れて。
風の中。
暫し、いまを離れる。

『Sweet Heart Of The Rodeo』'68年リリース。
バーズ史上最大の問題作とされる、『ロデオの恋人』・・・この邦題、好きだな。
このアルバム制作前にデヴィッド・クロスビー等が脱退。
メンバーの補充を迫られていたバーズ。ロジャー・マッギンにも考えがあったものの。
クーデターの機会を狙っていた(?)クリス・ヒルマンが連れてきた一人の男。
それが、かのグラム・パーソンズだったと。マッギンの要望に応じて。
オーディションではジャズ風のピアノを披露したと言うグラム。見事に合格したと。
そして。アルバムの制作が始まるとヒルマンと申し合わせて、一気に本領を発揮。
ロック史上初のカントリー・アルバムと称されるほどに、そのサウンドを変革したと。
収録されているのはグラムとヒルマンのオリジナル。ディランのカヴァー、そしてカントリーのカヴァー。
つまりは。リーダーであるマッギンのナンバーが1曲もないと。クーデター、見事に成功です。
従来のカントリーに、ロックの要素を持ち込んで。ポップにキャッチーに変化させながら。
郷愁や憧憬と言った。カントリーならではの心を震わせるものはそのままにして。
それをグラムが、あの独特の甘い歌声で聴かせる。斬新にして、本筋は外さない。
見事なまでのグラムの才能、そして手腕。やはり選ばれた者なのだと思わされます。
ただ。契約の問題なのか。急激な変化を恐れたレコード会社の意向なのか。
グラムのリード・ヴォーカルは数曲に抑えられ。マッギンに差し替えられている曲や。
マッギン、ヒルマンのコーラスが付け加えられたものもあったりします。
そのことをグラムがどう感じたのか。アルバムのリリース前に脱退の道を選び。
ヒルマンも後を追うように脱退して。フライング・ブリトー・ブラザーズが結成されます。
風の中から現れ。一陣の竜巻を巻き起こし。また風の中へと去っていったグラム。
その様の影響もあるのか。胸の中の郷愁や憧憬を強く意識させられるアルバムなのです。
しかし。それにしても。マッギンにしてみれば。忸怩たる思いだったのだろうなぁ。

風の中。
ふと。
振り返る。
いま。
過ったのは。

あの人の。
あの娘の。
匂いではなかったか。
風の中。
空気が揺らぐ。

そんなことが。
あるはずはないのは。
十分に理解している。
だが。風の中。
感じてしまう時がある。

いまの。
生き方に。
現況に。
特定の不満があるわけではない。
だが。欠落があるのも間違いはない。

風の中。
ふと。
その欠落を。その隙間を。
塞ぐものを。
追い求めているのか。

いるはずのない。
人の。娘の。
空気に触れて。
風の中。
暫し、現を離れる。

風の中。
一陣の竜巻と共に。
現れたのは。
過ったのは。
去っていったのは。

あの日の。
あの時の。
あの人なのか。
あの娘なのか。
その残像なのか。

あるはずもない。
おこるはずもない。
いるはずもない。
だが。
いま、この時。

確かに。
気配を感じた。
空気が揺れた。
何より。
匂いが漂った。

郷愁が。
憧憬が。
その残り香が。
風の中。
見せた一瞬の幻。

それは。
十分に理解している。
だが。風の中。
いまの自分へのクーデター。
そいつを試みたくなる時がある。



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