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2016/02/15 Mon *古い缶の中に / Chicken Shack

20160215inthecan


古い。
缶の中。
何が入っているのか。
何を入れたのか。
とうに忘れてしまっていたものを。

ふと。
急に。
確かめたくなって。
止まらなくなって。
開けてみる。

食べ物か。
飲み物か。
それとも。
何か別の。
特別のものなのか。

期待と不安。
綯交ぜになりながら。
恐る恐る。
開けて。
取り出してみる。

撮られた写真。
録音されたテープ。
撮影されたフィルム。
記録されたもの。
記憶されたもの。

捉えられた。
捕らわれた。
空気や匂い。
それが蘇る。
それが呼び起こすものがある。

『In The Can』'80年リリース。
チキン・シャックの初期の4枚のアルバムから選曲されたベスト・アルバム。
初期の4枚、そうマイク・ヴァーノンのブルー・ホライゾンに所属していた時代。
'68年~'70年にリリースされたアルバムに収録された音源が収められていると。
さて。チキン・シャックと言えばスタン・ウェッブ、ウェッブと言えばチキン・シャック。
度重なるメンバー・チェンジや、活動休止を経ながらも今でもチキン・シャックとして。
一人で看板を背負って活動しているウェッブこそがチキン・シャックそのものなのだと。
それはキム・シモンズとサヴォイ・ブラウンの関係にもよく似ているのですが。
(余談ですが。ウェッブは一時的にサヴォイ・ブラウンに加入したこともありましたが・・・)
しかし。ブルー・ホライゾン時代には、その最初の3枚のアルバムには。
ウェップと共に。チキン・シャックの看板を背負っていたメンバーがいて。
それがキーボードとヴォーカルを担当していたクリスティン・マクヴィーだったのですね。
このアルバムにもマクヴィーが歌った代表曲「I'd Rather Go Blind」が収められていて。
その情感あふれる歌声が、スロー・ブルースに乗って胸に沁み渡っていきます。
あくまでも。中心となるのはウェッブのギターと、ぶっきらぼうなヴォーカル。
そこに時折、クリスティンの歌声が花を添えるところも特徴、魅力の一つだったのですが。
何と、クリスティンはこともあろうにライヴァルのフリートウッド・マックに移籍して。
更には。ジョン・マクヴィーと結婚してしまったと。そうなのです。
‘70年代後半以降のポップなフリートウッド・マックでスティーヴィー・ニックスと共に。
花として活躍したクリスティン・マクヴィーとなってしまったのですね。
片やクリスティンの脱退後は商業的には下降線を辿る一方となったチキン・シャック。
片やクリスティンの加入後に方向性を変え続けて成功を収めたフリートウッド・マック。
その対照的な物語の原点、分岐点が記録されているアルバムなのです。
時期的に新生フリートウッド・マックの大成功に便乗したアルバムかなと思われますが。
当時メジャー落ちしていたウェッブの心境や如何に。我関せず、我が道を行っていたかな。
それでも。ここに収められたウェッブ、クリスティン並び立つ姿は色褪せていないのです。

古い。
缶の中。
何が収められているのか。
何を収めたのか。
とうに封じ込めてしまっていたものを。

ふと。
急に。
解き放ちたくなって。
我慢できなくなって。
開けてみる。

食べ物でも。
飲み物でも。
ありはしない。
何か別の。
特別なものなのだ。

期待と不安。
綯交ぜになりながら。
覚悟を決めて。
封印を切って。
放り出してみる。

撮られた写真。
録音されたテープ。
撮影されたフィルム。
記録に残ったもの。
記憶に残ったもの。

捉えられた。
捕らわれた。
風景や時間。
それが蘇る。
それが呼び覚ますものがある。

確かに。
もはや。
戻れない。
過去の遺物。
そのことに変わりは無い。

だが。
その遺物が。
生々しく。
瑞々しく。
刺激的であったりもする。

失われたもの。
消え去ったもの。
戻ってはこないもの。
その中に。
探しものが、答えがある。

時の流れに逆らって。
否、時が流れたからこそ。
輝きを放つものが。
目を開いてくれるものが。
缶の中から現れる。

最新の技術とか。
最新の流行とか。
時代の潮流とか。
時代の趨勢とか。
それらが追い付かない、それらが消し去れない。

時代に囚われてしまう。
時代に殉じてしまう。
そう揶揄されたとしても。
その中にしか存在しえない。
輝きも確かに存在するのだ。

撮られた写真。
録音されたテープ。
撮影されたフィルム。
缶の中。
記録が記憶として残ったもの。それらが愛しい夜もある。



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