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2016/09/25 Sun *あなたへの歌 / The Temptations

20160925asongforyou


目覚めたら。
もう。
そこには。
何もなくて。
誰もいなくて。

ただ。
それでも。
感触だけが。
そして想いだけが。
残っている様で。

完全に。
失われる。
その前にと。
慌てて抱きしめる。
間に合わないと知りながら。

腕の間から。
指の隙間から。
砂が零れる様に。
去っていってしまう。
その中に微笑を見る。

夢の中。
膝を折って。
蹲っている。
その肩を叩いたのは。
その腕を採ったのは。

そこに。
いたのは。
あったのは。
あの笑顔。

『A Song For You』'75年リリース。
テンプテーションズが新機軸を打ち出したアルバム。
このアルバムが通算で23枚目のアルバムになるとかで。
'60年代後半にはサイケデリックな世界にも挑んだりしていましたが。
その路線を共に推進したノーマン・ホイットフィールドがモータウンから離脱して。
新たにジェフリー・ボーウェンをプロデューサーに迎えて更に進化することとなり。
なんと、大胆にもファンクに挑んでいるのですが。これが何ともカッコいいのですよね。
もともとその歌声、コーラス。その実力、魅力はもう文句なしの折り紙付きですからね。
それが極上のファンキーなサウンドをバックに迫ってくるその迫力、その切れ味。
「Happy People」「Shakey Ground」と言う強力なファンク・チューンがヒットしていて。
「Happy People」ではコモドアーズのメンバーがセッションに参加。
「Shakey Ground」にはエディ・ヘイゼル、ビリー・ベース・ネルスンが参加しています。
そうファンカデリックです、Pファンクです。この異種格闘技戦が生み出しているスリル。
エディのラフでタフなギターに立ち向かう、デニス・エドワーズのディープな歌声。
異様なまでの緊張感と、不思議な同朋意識。その鬩ぎ合いが堪らないのですよね。
このままファンク路線でアルバム全編を押し通しても面白かったのでしょうが。
B面になると一転してスロー・バラード攻勢。これがまた至極の素晴らしさで。
アルバム・タイトルにもまっているレオン・ラッセルの「A Song For You」などは・・・
オリジナルの粗い温かさはそのままに。洗練された優しさも加わって何とも言えず。
一説では早くから気に入っていてライヴでは歌っていたとのことで。
その歌に対する愛情、思い入れが痛いほどに伝わってくる名唱となっているのです。
恐らく。急激な変化に対するファンの反応を考えてのB面だったかなとも思われますが。
それが故に。緩急絶妙なテンプテーションズの実力、魅力を改めて知らしめるアルバムとなっています。

ゆっくりと。
だが。
確実に。
覚醒すると共に。
薄れていく。

ただ。
それでも。
感触だけは。
そして想いだけは。
告げているのだ。

完全に。
失われても。
その前に。
残された痕跡が。
消えていった残り香が。

腕を伸ばしても。
指を伸ばしても。
届くはずもない。
去っていく後ろ姿に。
肩越しの微笑を見る。

夢の中。
握りしめた。
震える拳。
それを包んだのは
その背中を押したのは。

そこに。
いたのは。
そこに。
あったのは。
あの笑顔。

このまま。
沈んじゃだめだと。
このまま。
澱んだままでいたら。
終わってしまうと。

そう。
思いながら。
もう。だめかなと。
終わるのもいいかと。
悪い癖で諦めかけて。

俯いて。
蹲っていたら。
温かな光と。
優しい声が。
辺りを包んで。

採られるままに。
引かれるままに。
薄桃色の光の中へと。
そこに。
あの笑顔があった。

拳を握っても。
震えてしまう。
それを包んで、独りじゃないよと。
そこに。
あの笑顔があった。

不確かな。
揺れる。
覚束ない。
世界の中で。
その笑顔だけが確かにあった。

覚醒して。
総てが。
薄れて。
消えていく。
それでも。

微かで。
でも。確かな。
感触と想い。
それが教えてくれるのだ。

引き上げてくれたのは。
包んでくれたのは。
助けてくれたのは。
そう。
あの笑顔なのだと。

だから。
歌も歌えないから。
せめて。
こうして。
あなたの為に記しておこう。

ありがとう。
これが。
俺の。
あなたへの歌なのだ。
届くといいな。



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