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2016/10/01 Sat *火でも水でも / Free

20161001fireandwateruksecond


急げば。
いいってものではない。
早ければ。
いいってものでもない。
それはわかってはいるけれど。

目に入れば。
耳に入れば。
どうしても。
いたずらに。
走り出したくもなる。

そんな時は。
敢えて。
わざと。
一呼吸おいてみる。
無理にでも止まってみる。

急くな。
早まるな。
その前に。
足元を。
確かなものにしておけよと。

言い聞かせて。
腰を下ろして。
目を閉じて。
深呼吸しながら。
丹田に気を呼び集めてみる。

火でも。
水でも。
持って来いと。
何があったところで。
揺らがないものもあるのだぞと。

『Fire And Water』'70年リリース。
フリーの3rdアルバムにして代表作として知られるアルバム。
腰の落ちた、それこそ丹田に気が集中したかの佇まいが実に見事です。
この時、メンバーの平均年齢は二十歳に達するか達しないかだったはずで。
実に頼もしいと言うか、末恐ろしいと言うか。前途洋々たる若者達だったのですね。
結論から言えば。このアルバムでピークを迎えてしまって。後は下る一方であったと。
そうであったとしても。このアルバムの、それを創り上げたフリーの価値は永遠だと。
そう言わしめるだけの素晴らしいアルバム、素晴らしいサウンドなのです。
大ヒット曲である「All Right Now」そして代表作でもある「Fire And Water」と。
その2曲に象徴されるのですが。決して急がない、早まらない。焦ることを知らない。
その揺るぎの無さ、真っ直ぐで太い芯がきっちりと屹立しているのです。
慌てず、騒がず。恐らくは不安や焦燥と闘いながら、抑えるところはしっかり抑えて。
弾き過ぎない、叩き過ぎない、そして歌い過ぎない。抑制された情熱が昇華された。
その結晶が、この稀代の傑作たるアルバムなのだと感じられるのです。
ついつい不安に駆られて。焦りのあまりに、そのままに弾く、叩く、歌う、叫ぶ。
主張することに捕らわれすぎて、ただ弾きまくる、叩きまくる、叫びまくる。
そんな騒々しく、せせこましいだけの凡百の輩には永遠に創れないアルバムなのです。
ポール・コゾフのギターが咽び泣き、アンディ・フレイザーのベースがうねり。
サイモン・カークの濃厚な愛撫を思わせるドラムスがしっかりとボトムを支えて。
ポール・ロジャースが魂込めて、ソウルフルに歌い上げて聴く者の胸に迫る・・・
決して音数は多くなく。間、隙間だらけ。されどその間も含めての濃度の濃さ、密度の高さ。
寡黙こそが、一番の雄弁であるとすら思える。そんな揺るぎの無い自信が堪らないのです。

叫べば。
いいってものではない。
もの申せば。
いいってものでもない。
それはわかってはいるけれど。

目に入れば。
耳に入れば。
どうしても。
いたずらに。
騒ぎ出したくもなる。

そんな時は。
敢えて。
わざと。
無視を決めこんでみる。
無理にでも口を閉じてみる。

叫ぶな。
もの申すな。
その前に。
根源を。
確かなものにしておけよと。

肝に銘じて。
印を結んで。
目を閉じて。
深呼吸しながら。
丹田に気を呼び集めてみる。

火でも。
水でも。
持って来いと。
何が来たところで。
揺らがないものもあるのだぞと。

何もしない。
動かない。
声を出さない。
焦りもする。
不安にもなる。

直ぐにでも。
動き出したい。
叫びたい。
抑えるのに。
苦労もする。

だが。
急いては。
ことを仕損じる。
慌てる。
乞食はもらいが少ない。

何よりも。
自分が。
揺れている。
揺らいでいる。
それでは何も始められない。

腰を据え。
肝を決め。
目を閉じて。
気を集めて。
じっと堪える。

時間が流れる。
秒針の進む音。
砂の落ちる音。
かき乱されずに。
その間を思う。

静かさに。
静寂に。
身も心も任せて。
時の狭間の。
その間に生きる。

火でも。
水でも。
何でも来い。
そう思えたら。
さぁ、動き出そう。



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