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2017/03/29 Wed *その残り香、その残照 / 原田芳雄

20170329lastone


そうさ。
俺は。
古い人間さ。
時代遅れの人間さ。
そう言うことだ。

いつの間にか。
昭和は遠くなりにけり。
そうなのだけれど。
その残り香は。
その残照は。

未だ。
濃く香っている。
強く照っている。
その中で。
生き続けているのだ。

どこか。
不便で。
薄汚れて。
厳しくて。
そんな時代。

でも。
楽しくて。
気楽で。
温かった。
そんな時代。

例え。
懐古趣味だと言われようと。
好きなもの。
信じたもの。
その中を生き続けてやるのだ。

『Last One』'76年リリース。
原田芳雄、堂々のファースト・アルバム。
元々は俳優ではなくても歌手を目指していたとの説もあって。
酔っぱらうとよく歌を歌っていたらしいのですが。飽くまでも趣味で。
レコード・デビューするつもりなど無かったとかで。
アルバム・タイトルにもその意思が反映されているのだと思いますが。
その背中を押したのが松田優作だったのだとか。
その優作を始めとして。荒木一郎、桃井かおり、藤田敏八に、クニ河内。
そして宇崎竜童と阿木燿子と。豪華なメンバーが作品を提供しています。
その意思と、アルバム・タイトルに反して音楽活動を継続することになりますが。
このアルバムでは。後年のブルースのイメージは未だ全面には出ていなくて。
上手いのだか、下手なのだか。兎に角、味わい深い歌声を聴かせてくれています。
西岡恭蔵の、かの名曲「プカプカ」も歌われているのですが。これが絶品で。
様々な人の様々なヴァージョンがありますが。その中でも絶品の部類かなと。
オネエ口調で歌っているナンバーもあって。端々に俳優らしさが感じられます。
そのタイトルが「赤坂・一ツ木・どん底周辺」と言う辺りがまた堪らなくて。
赤坂、そして新宿、渋谷の街の匂い、昭和の街の匂いが濃厚で。
そう。さながら。原田芳雄の出演している映画やドラマを観る時と同様に。
いやでも。あの時代。猥雑で混沌で。でも未だ何かを信じられたあの時代だからこそ。
生まれたアルバムなのだろうなと。そう強く感じさせられるのです。
お洒落でも、こぎれいでもなく。時代遅れと言われれば、それまでなのでしょうが。
だからこその。輝きや温かさが宿っているなと。それが愛しくてならないのです。

そうさ。
俺は。
古い人間で。
時代遅れの人間で。
だからどうしたと言うことだ。

とうの昔に。
昭和は遠くなりにけり。
それは抗えないけれど。
その残り香は。
その残照は。

未だ。
濃く香り続けている。
強く照り続けている。
その中でこそ。
生き続けていけるのだ。

とても。
煩くて。
賑やかで。
煩わしくて。
そんな時代。

でも。
穏やかで。
優しくて。
笑ってしまえた。
そんな時代。

例え。
懐古趣味が過ぎるとしても。
愛しいもの。
感じたもの。
その中で生き続けてやるのだ。

味ない。
匂いもしない。
無味無臭。
そんな空気。
そんな時代。

お洒落で。
小ぎれいで。
でも。よそよそしい。
そんな空気。
そんな時代。

好き好きだけど。
堅苦しい。
息苦しい。
何よりも。
面白くない。

不便で。
薄汚れて。
厳しくて。
でも。
何かを信じていた。

煩くて。
賑やかで。
煩わしくて。
でも。
色々なものを感じられた。

いつの間にか。
とうの昔に。
そんな時代は。
遠くになりにけりで。
そうなのだけれど。

その残り香と共に。
その残照と共に。
生き続ける。
古い人間だと言われても。
時代遅れの人間だと言われようとも。



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