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2017/05/14 Sun *家族とか / Plastic Ono Band

20170514johnlennon


家族とか。
血の繋がりとか。
そんなものが。
好きじゃなかった。
好きになれなかった。

家族。
その二文字が。
絶対で。
何にでも勝る。
何にでも優先される。

その。
窮屈さが。
理不尽さが。
どうにも。
我慢がならなかった。

血が繋がっている。
それだけで。
疑いも無く。
総てが同じ。
総てが分かり合える。

その。
傲慢さが。
傍若無人さが。
どうにも。
耐えがたかった。

まぁ。
今も。
根本的には。
たいして。
変わってはいないけれども。

『John Lennon/Plastic Ono Band』'70年リリース。
『ジョンの魂』の邦題でも知られるジョン・レノンの実質上、初めてのソロ・アルバム。
このアルバムの制作前に。ヨーコと共に心理療法を受けていたジョン。
原初療法とも呼ばれるもので。幼少期にまで遡って忘れていた心の苦痛を総て吐き出す。
その経験によって。初めて幼くして母親を亡くした時の痛みなどと向き合ったジョン。
そのあまりにも赤裸々な、剥き出しの。まさにジョンの魂が歌っているかのアルバムです。
ビリー・プレストンとフィル・スペクターがそれぞれ1曲ずつピアノで参加している以外は。
ジョンと、クラウス・フォアマン、それにリンゴ・スターの3人だけによる演奏で。
そのシンプルなサウンドが、ジョンの叫びを際立たせて真っ直ぐに胸に突き刺さります。
「Mother」「God」など。衝撃的とも言える内容をもつ内面を吐露したナンバーもあれば。
「Love」の様なあまりに純粋なラヴ・ソングもあれば。
「Working Class Hero」「Well Well Well」と言った社会的なナンバーもあり。
ありとあらゆる問題に関心を、興味を抱いて表現したジョンの姿がここにも表れています。
それにしても。なんと生々しく、痛々しく、そして刺々しく、弱々しいことかと。
ビートルズとして世界を制した、あのジョンが。こんなアルバムを制作し、リリースした。
その事実こそが。ジョンが何者であるかを証明し、そしてジョンを信用させているのです。
あのジョンは。我々と同じ様に。誰かを憎みもすれば、誰かを愛しもする1人の人間で。
我々と同じ様に。どうしようもない喜怒哀楽の感情に苦しむ1人の人間であったのです。
その事実を隠しもせずに表に出して。しかも超一流の作品に仕上げてしまう。
このアルバムには、ジョンの凄さ、その凄味の何たるかが余すところなく表されています。
そして。痛切に泣き叫び、強烈に牙を剥き毒づきながらも。その根底にあるのは。
あまりにも大きく、深く、そして強い愛なのです。母親を思慕し、神や様々なものを否定し。
社会や世界に噛みつく。そこに。どうしようもなく誰かを愛し、誰かに愛されることを求めるジョンがいるのです。
そんなジョンを前にすると、そんなジョンの歌声を耳にすると。剥き出しの、素の自分に戻ってしまうのです。

家族とか。
血の繋がりとか。
そんなものに。
素直じゃなかった。
素直になれなかった。

家族。
その二文字が。
絶対だとは。
何にでも勝とは。
何にでも優先されるとは。

今でも。
思わないし。
窮屈で。
理不尽だと。
そう思うけれど。

血が繋がっていても。
総てが同じではないし。
総てが分かる筈もない。
そいつは。
疑いようもないのだと。

今でも。
傲慢さや。
傍若無人さには。
どうにも。
耐えがたいけれど。

そう。
今も。
根本的には。
ほとんど。
変わってはいないけれども。

我慢が。
ならなかった。
窮屈さの
理不尽さの。
その裏側に。

忍耐が。
ならなかった。
傲慢さの。
理不尽さの。
その裏側に。

ひょっとして。
思いもよらなかった。
考えもしなかった。
別の思いが。
あったのかもしれないと。

ひょっとして。
言葉とか。
態度とか。
そこには表れないものが。
あったのかもしれないと。

その。
大きく。
深く。
強い。
ものが生まれる源泉に。

家族とか。
血の繋がりとか。
そんなものが。
存在していた。
あったのかもしれないと。

だから。
ふと。
思いついて。
柄でもなく。
花など送ってみたりして。

いつになく。
弾んだ声を。
受話器の向こうに聞けば。
そいつも。
悪くはないかとも。

家族とか。
血の繋がりとか。
そんなものは。
今でも。
好きにはなれないけれど。



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