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2017/12/12 Tue *裏返し / The Kinks

20171212somethingelsebythekinksukor


そう。
そいつは。
裏返し。
反対側にこそ。
真実はある。

いま。
この時。
この胸にあるもの。
そいつも。
裏返し。

温かさに。
包まれている。
そう感じる。
その時には。
凍えている。

明るさに。
触れている。
そう感じる。
その時には。
見失っている。

そう思う。
そう感じる。
それは。
そう思いたいだけ。
そう感じたいだけ。

そうさ。
憧憬は。
実のところ。
激しい嫉妬の。
そいつの裏返し。

『Something Else By The Kinks』'67年リリース。
実に何とも、英国の香り漂うキンクスの傑作アルバム。
キンクスにとっては英国での5枚目となるこのアルバム。
このアルバムから、いよいよキンクス、レイ・デイヴィスが本領を発揮したかと。
その実に、アイロニカルで孤高で。そして何とも愛しくも儚い世界。
世界中がフラワー・ムーブメントやサイケデリックに向かっている時代に。
一人、喧騒から離れて。日向ぼっこをしながら、散歩をしながら。
見るとは無しに、人々の姿を目で追いながら、空想の世界で物語を編んでいると。
子供から大人まで。男女問わずに。市井の人々に寄り添いながら。
その様々な物語を皮肉たっぷりに、しかし温かく描いていく、紡いでいくと。
そんな短編の、連作小説集を読んでいる気分にさせられるアルバムなのです。
ロックンロールもあれば、トラッドやボサノヴァを思わせるナンバーもあって。
そして何とも、レイにしか書けないであろう美しいメロディもそこかしこに顔を出して。
そのメロディの美しさと、どこか空回りに聴こえるロックンロールとの取り合わせ。
明らかにキンキーなロックンロール・バンドとは異なる世界へと向かってもいて。
この後、その道を突き進むレイと、違和感を覚えたデイヴの兄弟の確執も生んでいくと。
それにしても。つくづくレイと言う人は。英国の市井の人々、労働者階級の人々。
そのあり様、その生活、その人生をよく見ている、そして愛していたのだなと。
「David Watts」から「Waterloo Sunset」まで。その徹底した愛情は偏執気味でもあって。
そこには強い憧憬と。その裏返しである激しい嫉妬すらも感じてしまうのですよね。
自分が生きられなかった、なれなかった。そんな人生、そんな人間への憧憬と嫉妬。
そこに、労働者階級の人々、総ての思いを代弁しようとする意図を見るのは穿ち過ぎかな。
でも。描かれている物語。その憧憬と嫉妬が多くの人々の共感を得たのは確かだと。
そう思いながら。「David Watts」を、そして「Waterloo Sunset」をこよなく愛している自分もその一人なのだと・・・

そう。
こいつも。
裏返し。
反対側にこそ。
事実はある。

いま。
この時。
この手にあるもの。
こいつも。
裏返し。

優しさを。
手にしたと。
そう感じる。
その時には。
飢えている。

煌めきを。
掌の中にと。
そう感じる。
その時には。
暗闇の中。

そう思う。
そう感じる。
それは。
思い込んでいるだけ。
錯覚しているだけ。

そうさ。
憧憬は。
いつだって。
激しい嫉妬の。
そいつの裏返し。

憧れて。
夢を見て。
それで。
それだけで。
いいのだと。

それで。
夢の欠片でも。
この胸に。
この手に。
できればいいと。

それで。
十分だ。
満足だと。
胡麻化しては。
みたところで。

温かさも。
明るさも。
優しさも。
煌めきも。
何も無いのだと。

総ては。
ただの。
思い込み。
錯覚に。
過ぎないのだと。

それに。
気づく時。
気づかされる時。
憧れは。
妬みであったと。

夢を見る。
それでは。
満足できないのだと。
そして。
満足する日はこないのだと。

真実。
事実。
そいつは。
反対側にある。
裏返し。

夕陽の中で。
その輝きに。
憧れながら。
取って代わりたいと。
妬んでいるのだ・・・



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