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2018/02/06 Tue *俺だけのブルースを / Robert Nighthawk

20180206blaclangelblues


今日も。
今夜も。
この時も。
誰かが。
誰かを思っている。

あいつが。
あの娘を。
思っている。
その思いを。
抱きしめている。

あの娘が。
あいつを。
思っている。
その思いを。
口ずさんでいる。

人の数だけ。
男の数だけ。
女の数だけ。
思いがあり。
ブルースがある。

あの街角で。
この街角で。
それぞれの。
思いが溢れ出し。
ブルースが咽び泣く。

それが。
どうした。
俺は。
あの娘だけを思い。
俺のブルースを口ずさむ。

『Black Angel Blues』'84年リリース。
アーカーソン州はヘレナ出身のロバート・ナイトホーク。
戦前から活躍していたギタリストで。何度か芸名を変えていて。
その戦前は主にロバート・リー・マッコイとの名前で知られていたとか。
戦後、シカゴへと流れてきたロバートをチェスに紹介したのはマディ・ウォーターズで。
何でも。マディとロバートは古い知己で。マディの最初の結婚式で演奏もしていたとも。
そんな縁で実現したロバートのチェス録音を集めたP-VINEによる編集アルバムです。
さて。チェスでのロバートの初録音を仕切ったのがウィリー・ディクソンで。
これはウィリーにとってもチェスの中で重要な位置を占める様になる試金石となったとか。
他にはピアニストと、そしてロバートの夫人(恋人?)だったエセル・メイと言うシンガー。
この4人の布陣で'48年~'50年にかけて録音された12曲が総て収録されています。
タンパ・レッド直伝とも言われる(異説もありますが)ロバートの咽び泣くスライドと。
何とも哀感と言うか、郷愁も感じさせるくぐもった歌声が深く胸に沁みてきます。
何曲かで歌っているエセルの上手くはないが気だるい歌声もなかなか聴かせてくれます。
しかし何と言っても。真夜中の暗闇の、その底から聞こえてくる様な。
そんな独特の深く、暗く、そして黒光りする様なロバートのスライドが実に魅力的です。
「Sweet Black Angel」「Anna Lee Blues」等は実に絶品なのです。
ところが。あろうことかエセルが牧師と駆け落ちしてしまい、ロバートは絶望の底へと。
チェスを離れて。暫く他のレーベルを渡り歩いたロバート。流れ流れて再びチェスへ。
'64年にチェスへの最後の録音として2曲を残し。バディ・ガイ等も参加して。
ロバートにしてはモダンな側面も感じさせる素晴らしい出来となるもお蔵入りになって。
その後はシカゴのマックスウェル・ストリートで活動し、後にアルバムにもなっていますが。
元来、放浪癖がありながら望郷の念も強く。エセルの一件以来、あまり笑わなくもなり。
やがてヘレナに戻って。そこで亡くなっています。毒殺されたとの説もある様ですが・・・
自らの“エンジェル”、エセルに歌いかけ、去られ、故郷へと。ロバートのスライドと歌声は今も咽び泣いていると。

今日も。
今夜も。
この時も。
誰かが。
誰かを求めている。

あいつが。
あの娘を。
求めている。
その思いに。
悶え悩んでいる。

あの娘が。
あいつを。
求めている。
その思いを。
奏でている。

人の数だけ。
男の数だけ。
女の数だけ。
思いもあり。
ブルースもある。

あの街角で。
この街角で。
それぞれの。
思いがすれ違い。
ブルースが咽び泣く。

それが。
どうした。
俺は。
あの娘だけを求め。
俺のブルースを奏でている。

今日も。
今夜も。
この時も。
誰かが喜びに震え。
誰かが悲しみに打ちひしがれ。

今日も。
今夜も。
この時も。
届かぬ思いを胸に抱き。
届くはずもない手を伸ばし。

今日も。
今夜も。
この時も。
そんな誰かがいる。
そんな誰かが口ずさんでいる。

今日も。
今夜も。
この時も。
そんな誰かが。
ブルースを口ずさんでいる。

今日も。
今夜も。
この時も。
そんな誰かが。
ブルースを奏でている。

あの街角で。
この街角で。
それぞれの。
思いが溢れ出し、すれ違い。
ブルースが咽び泣く。

それが。
どうした。
俺は。
あの娘だけを思い、求め。
俺だけのブルースを口ずさみ、奏でるだけなのだ。



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