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2018/02/07 Wed *承前 / Leroy Carr

20180207bluesbeforesunrise


承前。
夜明け前。
眠れぬままに。
ぼんやりと。
明ける前。

昨日のこと。
一日のこと。
思い返し。
何とはなしに。
反芻して。

今日のこと。
一日のこと。
思い浮かべ。
何とはなしに。
予測して。

おそらく。
何も。
何ひとつ。
変わらないであろう。
そのことに。

漠然と。
思い及び。
そのことを。
何とはなしに。
受け入れようとして。

慄然と。
何も変わらない。
何も変えられない。
そのことに。
涙が滲む。

『Blues Before Sunrise』'62年リリース。
ブルース・ピアノの始祖ともされるリロイ・カー。
あの大恐慌時代にもヒット曲を量産していた戦前ブルースに於けるスター、リロイ。
ロバート・ジョンソンにも影響を与えたと言うその洗練された、そして甘くもあるブルース。
そんなカーのやるせない歌声と華麗なピアノが堪能できる'32年と'34年の録音から。
代表的とされるナンバーを16曲選んで収録された決定版とも言える編集アルバム。
相棒のスクラッパー・ブラックウェルが13曲、ジョッシュ・ホワイトが3曲。
それぞれギターでリロイのピアノと歌をサポートしています。
テネシー州のナッシュビルに生まれて。幼くしてインディアナポリスに越したリロイ。
どうやらその独特のピアノは、そのインディアナポリス時代に身につけたものだとか。
20代の早いうちにブラックウェルと出会ってコンビを結成して活動を始め。
直ぐにヒットを飛ばして、絶大な人気を博して売れっ子となったと。
シティ・ブルースと称される戦前ブルースの中でもとりわけ洗練された感覚があって。
それがロバジョンを始めとして、多くのブルース・マン達をも虜にしたのだと思われますが。
インディアナポリスと言うのは結構な都会らしく。そこで育ったことも影響しているのか。
豊饒とも言えそうなピアノと、ぶっきらぼうにも思える淡々とした歌声と。
明らかにデルタ・ブルースとは異なる手触り、肌触りがあるのは確かなところかと。
それでいて。やはり、ブルースはブルースで。背筋が震える様な激しさを呑んでもいて。
このプリミティヴとも言えるものを残しながらも、ソフィステシケーションされたところ。
それがリロイ(とブラックウェル)の魅力であり、鍵なのかなとも思わされもします。
真夜中にも、夜明け前にも。ふとした瞬間に。胸の深いところを捉えて離さないものがある。
なんでもない時に。心の片隅を過ぎり、視界の端に浮かび、消え去らないものがある。
静かに、豊に。耽り、思い。昂ぶり、呆けて。何事も無かった如く、棲みついてしまう。
それは、そこが南部であれ、北部であれ。田舎であれ、都会であれ同じこと。
そんなどうしようもなく、そしてどこにでもある。心の動き、襞、ブルースを鮮やかに描いてみせたリロイなのです。

承前。
真夜中過ぎ。
寝付かれぬままに。
ぼんやりと。
闇の中。

今日のこと。
一日のこと。
思い返し。
何とはなしに。
咀嚼して。

明日のこと。
一日のこと。
思い浮かべ。
何とはなしに。
予感して。

おそらく。
何も。
何ひとつ。
動かないであろう。
そのことに。

漠然と。
思い及び。
そのことに。
疑いもなく。
受け入れようとして。

慄然と。
何も動かない。
何も動かせない。
そのことに。
涙が滲む。

陽が昇り。
陽が沈み。
繰り返される。
その間で。
漫然と。

流れる。
時を。
繰り返される。
日々を。
過ごして。

夜が明けて。
夜が更けて。
眠れぬままに。
流されて。
埋もれて。

ふと。
気づく。
思い当たる。
いつまで。
続くのかと。

昨日は。
今日で。
今日は。
明日で。
明日は・・・

何も。
何ひとつも。
変わらない。
動かない。
そのままなのだと。

承前。
夜明け前。
真夜中過ぎ。
涙が滲む。
涙が凍る。



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