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2018/03/26 Mon *空を飛ぶ夢を暫く見ない / サディステイック・ミカ・バンド

20180326kurofune


空を。
飛ぶ夢を。
暫く。
見ていない。
そうなのだ。

何かに。
縛りつけられて。
がんじがらめの。
そんな。
現実が。

夢までも。
侵すのか。
夢の中でも。
地を這って。
空を見上げて。

飛べたらいいなと。
ただ、指を咥えている。
そんな。
飛べない夢ばかりを。
見続けているのだ。

ひとつ飛びで。
塀まで。
その向こうまで。
その先まで。
空の彼方まで。

飛んでいけた。
あの頃は。
もう戻らないのか。
幻なのか。
空を飛ぶ夢を暫く見ない。

『黒船』'74年リリース。
サディスティック・ミカ・バンドの2枚目となるアルバム。
幕末をコンセプトとして制作されたのは英国や米国、海外のマーケットを意識してか。
目論見は見事に当たっていて。見たこともない幕末の、そして空想の世界でしかない幕末の。
景色や空気、匂いまでが感じられそうです。それこそひと飛びで、飛んで行けそうです。
加藤和彦の曲の世界、松山猛の詞の世界。それをくっきりと浮かび上がらせているサウンド。
そこはプロデューサーのクリス・トーマスの手腕によるところも大きかったのかな。
何でも、あのクイーンの誘いを断ってまで、クリス側から売り込んできたのだとか。
それだけ、サディスティック・ミカ・バンドには訴える何ものかがあったと言うことなのか。
当時の日本のロックの枠を軽々と飛び越えている世界水準のサウンドが生み出されたのも。
その素材の良さ、加藤和彦のセンス、メンバー個々の技量の高さは半端なかったと。
故にクリスも、持てる総てを注ぎ込んで。この素晴らしいアルバムの制作に加わったと。
マスター・テープを切り刻んで繋ぎ合わせたとか、ティー・カップやジーンズのジッパー。
そんなものまでも駆使してサウンドに拘ったクリス。恐らくそのセンスとテクニックは。
加藤和彦などを通して日本のロックに多大な影響を与えたと。まさに黒船だったかなと。
さて。どうしても「タイムマシンにおねがい」がキャッチーで、語られやすいのですが。
どのナンバーも、時に夢幻の如く、時にタイトにファンキーにと。実に素晴らしくて。
組曲となっている「黒船」、そして「どんたく」「塀までひとっとび」「颱風歌」と。
軽やかでいて。音楽を作ることへの飽くなき拘り、音楽そのものへの倦むことの無い愛情。
好きなものは好きと。それだけで。空をどこまでも飛んでいきそうな自由さと、情熱と。
もう40年以上前の、あの時代に。これだけのアルバムを創ってしまったと言う。
何だろう。ロックが、音楽が無限の可能性を秘めていると信じられた時代の力強さがあると。
そして。未だに、このアルバムが些かも色褪せていないところに驚嘆すると共に。
飛べなくなった、自由も勢いも失い。可能性を信じられなくなった。
そんな、大袈裟に言えば。この社会、この世界そのものの閉塞を思わずにはいられないのですよね・・・

空を。
飛ぶ夢を。
暫く。
見ていない。
そう言うことだ。

何かに。
囚われて。
身動き取れない。
そんな。
現実が。

夢までも。
冒すのか。
夢の中でも。
地に蹲って。
空を見上げて。

飛べたらいいなと。
ただ、ため息をついている。
そんな。
飛べない夢ばかりが。
繰り返されているのだ。

ひとつ飛びで。
塀を。
乗り越えて。
その果てまで。
空の彼方まで。

飛んでいけた。
あの頃は。
もう帰りはしないのか。
朧なのか。
空を飛ぶ夢を暫く見ない。

現実が。
現が。
力を増して。
縛りつけようと。
閉じ込めようと。

現実が。
現が。
蔓延って。
覆い尽くされる。
塞がれてしまう。

現実に。
現に。
囚われて。
侵されて。
冒されて。

夢の中でも。
地を這って。
空を見上げて。
ただ。
指を咥えている。

夢の中でも。
地に蹲って。
空を見上げて。
ただ。
ため息をついている。

夢の中にも。
自由も。
情熱も。
そして。
可能性をも。

失って。
奪われて。
囚われて。
あの頃へ。
飛んでいくこともできない。

空を飛ぶ夢を暫く見ない。
このまま。
そのまま。
終わりにする。
そうはいかないと思うのだけれど。

空を飛ぶ夢を暫く見ない。



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