カテゴリー「002 American Rock」の記事

2017/11/07 Tue *往々にして / Cheap Trick

20171107incolorusorg


表か。
裏か。
どちら側から。
見るのか。
見えているのか。

ものの。
見え方なんて。
感じ方なんて。
捉え方なんて。
それだけで、異なるもの。

表か。
裏か。
どちら側に。
立っているのか。
立とうとしているのか。

見たい方に。
感じたい方に。
捉えたい方に。
気づくと立っている。
人の心など、そんなもの。

どう。
見せたいのか。
感じさせたいのか。
捉えさせたいのか。
それが肝心で。でも。

どう。
見せたらいいのか。
感じさせたらいいのか。
捉えさせたらいいのか。
そいつは、存外にわからない。

『In Color』'77年リリース。
チープ・トリックの2ndアルバム。
所謂、パワー・ポップの元祖は何かと諸説がある様ですが。
わりと今の時代までダイレクトに繋がっている、その源はこのアルバム辺りかな。
プロデューサー、トム・ワーマンによる明るく弾けたサウンド。
そいつが、チープ・トリックのキャッチーなメロディ、エッジの効いたリフを引き立てて。
実に、爽快なで心地のよい、ある意味で肌触りのいいロックンロールに仕上がっていると。
そんなところが。特に日本では受けて。このアルバムで一足先にブレイクしたと。
ジャケットに、ロビン・ザンダーとトム・ピータソン、イケメンの二人のみを配置して。
自らと、バン・E・カルロスは(モノクロの)裏ジャケに回って、引き立て役(?)に回る。
策士、リック・ニールセンはこのサウンドがもたらす効果を十分に承知していたのではと。
「I Want You To Want Me」「Clock Strikes Ten」とキラー・チューンが収められていて。
他にも「Big Eyes」「Southern Girls」と粒揃いで。駆け抜けていく感じが堪りません。
この後、『Heaven Tonight』『Dream Police』とトム・ワーマンとの仕事が続いて。
そのクリアな音像と、チープ・トリックの相性は悪くはないかと思われていたのですが。
実は、特にリックは気に入らなかった模様で。相当な不満を溜め込んでいたと。
確かに整理され過ぎのきらいはあって。もっとざらついたサウンド、音像を求めていたと。
要は、1stを手掛けたジャック・ダグラスと再び仕事がしたかったのだと思うのですが。
遂には20年以上経過してからスティーヴ・アルビニのプロデュースで再録音に至ったと。
ところが、その音源は今に至るまで公式にはリリースされていないのですよね。
まぁ、本人が思っている理想の姿と、他の人々がその人に求める姿が異なると言うのは。
往々にしてよくあることで。ざらついた、ハードなチープ・トリックは好まれていないと。
自分としては1stアルバムの。歪んだ変態性が濃いチープ・トリックも好きなのですけど。
セルフ・プロデュースに長けているリックも。それだけはどうしようもなく、でも、我慢もできないのかな。

天然色か。
白黒か。
どのフィルターから。
見るのか。
見えているのか。

ものの。
見え方なんて。
感じ方なんて。
捉え方なんて。
それだけで、変わるもの。

天然色か。
白黒か。
どちら側に。
立っているのか。
立とうとしているのか。

見せたい方に。
感じさせたい方に。
捉えさせたい方に。
気づくと立っている。
人の心など、そんなもの。

どう。
見てほしいのか。
感じてほしいのか。
捉えてほしいのか。
それが肝心で。でも。

どう。
見たいのか。
感じたいのか。
捉えたいのか。
そいつは、存外に忘れがち。

何を。
見せたいのか。
感じさせたいのか。
捉えさせたいのか。
そいつは明確で。

その為に。
見せたい方に。
感じさせたい方に。
捉えさせたい方に。
立っている。

でも。
表の筈が。
裏が。
天然色の筈が。
白黒が。

見られてしまう。
感じられてしまう。
捉えられてしまう。
往々にして。
そんなもの。

どう。
見てほしいのか。
感じてほしいのか。
捉えてほしいのか。
そいつは明確で。

その為に。
見せたい方に。
感じさせたい方に。
捉えさせたい方に。
立ってはいる。

でも。
裏かと思えば。
表が。
白黒かと思えば。
天然色が。

喜ばれてしまう。
受け入れられてしまう。
求められてしまう。
往々にして。
そんなもの。

そんなもの。
でも。
そいつを。
どう受け止めて。
どう処していくのか。

そいつが肝心で、存外に難しい。



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2017/11/06 Mon *醒めた千鳥足 / The Fabulous Thunderbirds

20171106whwtstheword


酔い覚めの。
酩酊状態。
醒めているのに。
酔いしれてもいる。
そんな中途半端な感覚が。

落ち着かなくもあり。
心地よくもあり。
その境界線上で。
どちら側へ踏み出そうかと。
楽しんでいる。

例えば。
同じ言葉でも。
醒めて口にするのと。
酔いしれて言の葉にするのと。
その匙加減。

そいつの。
かなり際どくて。
危ういバランスを。
わざと崩してみたくもなる。
そんなところ。

人が悪いなと。
醒めた己が刺しもすれば。
面白いじゃないかと。
宿酔いの己が煽りもする。
そのせめぎ合いが好きなのか。

如何わしくて。
不敵で。
その実。
かなりの小心者で。
でも人の言葉には耳、貸さず。

『What's The Word』'80年リリース。
ファビュラス・サンダーバーズの2枚目となるアルバム。
確か、このアルバムがメジャーからは初めてのアルバムだったのかな。
それにしては。このジャケットは・・・売る気が無かったのか。
それとも、わざとその筋(どの筋?)だけを狙ってリリースされたのか。
あまりに安っぽい、まるで廉価盤の様な色使いもさることながら。
このターバンにサングラス。妖しい口髭に、密林の様な胸毛の男の写真。
いくらキム・ウィルソンが如何わしいからと言って。これは無いだろうと。
対比してジミー・ヴォーンを売り出す作戦か。しかしジミーもかなり微妙かなと。
まぁ、その実。このジャケットのいい加減さと如何わしさはらしくはあるのだけれど。
テキサスはオースティンのブルース・クラブのハコバンだったと言う叩き上げの経歴。
如何にもと思わせる、その実力者振り、そしてローカルな匂いが残るそのB級なところ。
その絶妙なバランス、その匙加減。そこがファビュラス・サンダーバーズの魅力かな。
マディ・ウォーターズやジョン・リー・フッカーのサポートもしたらしいので。
その点では。プロフェッショナルな、ある意味では醒めた感覚も持ちながら。
酔っ払い相手に盛り上げてなんぼの。商売人としての遊び心も持ち合わせていたと。
それを一番体現しているのがキムかなと。歌もハープもかなりの腕前にも関わらず。
それをストレートには表さないで。如何わしさでもって楽しませてみせると。
思わず、役者やの~と。そんな声を掛けたくもなる。ご機嫌なロックンロールなのです。
ジミーは言わずと知れたスティーヴィー・レイ・ヴォーンの実兄で。
あのスティーヴィーが心底尊敬していたギタリストで。その渋いプレイがまた堪りません。
特にスティーヴィー亡き後は、妙に神格化されたりもして。その実像が見え辛くなって。
このアルバムの、いなたさ、そいつはフレーズの端々に感じられるのが本来の姿かなと。
如何わしさと、いなたさ。その醒めた千鳥足。それこそがファビュラス・サンダーバーズの真骨頂かな。

酔い覚めの。
酩酊状態。
醒めたはずなのに。
残っている気もする。
そんなどっちつかずの感覚が。

微かな罪悪感もあり。
気持ちよくもあり。
その境界線上で。
どちら側へ堕ちてやろうかと。
楽しんでいる。

例えば。
同じ態度でも。
醒めて演じてみせるのと。
酔いしれて見得を切るのと。
その匙加減。

そいつの。
かなりギリギリで。
微妙なバランスを。
わざと傾けてみたくもなる。
そんなところ。

大概にしとけよと。
醒めた己が刺しもすれば。
こんなものじゃないだろうと。
宿酔いの己が煽りもする。
そのせめぎ合いが奮わせるのか。

如何わしくて。
不敵で。
その実。
かなりの臆病者で。
でも人の言葉には耳、貸さず。

酔っているのか。
醒めているのか。
その境界線上。
その微妙なところを。
歩いてみる。

抜けているのか。
残っているのか。
その境界線上。
その曖昧なところで。
踊ってみる。

右へ。
踏み出すのか。
左へ。
踏み出すのか。
それとも。

右へ。
堕ちるのか。
左へ。
堕ちるのか。
それとも。

それなりの。
かなり。
危ういバランスを。
崩してみたくもなる。
そいつを楽しんでいる。

それなりの。
かなり。
際どいバランスを。
傾けてみたくなる。
そいつを楽しんでいる。

酔い覚めの。
酩酊状態。
醒めた千鳥足。
その心地よさに。
結局は酔いしれている。



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2017/11/05 Sun *踊れ / John Cougar

20171105johncougar


踊れ。
踊りたいのなら。
この夜を。
この日々を。
踊ってしまえ。

そう。
本当は。
踊りたかったのだと。
気づいたのなら。
躊躇うことはない。

そう。
本当に。
楽しいのだと。
感じているのなら。
止めることはない。

思いのままに。
感じるままに。
そのままに。
踊ればいい。
踊り続ければいい。

長く。
曲がりくねった。
そんな路の上。
変わってしまった。
掛かってしまった。

それでも。
いま。
この場所に。
辿り着いた。
ならば、踊れ、踊ってしまえ。

『John Cougar』'79年リリース。
ジョン・クーガー、ジョン・メレンキャンプの4枚目となるアルバム。
デビュー時はジョニー・クーガーと名乗っていて。
このアルバムがジョン・クーガー名義では初めてとなるアルバム。
クーガーと言うのはデビュー時のマネージメントに強制された芸名で。
この後、成功を手にするにつれて。ジョン・クガー・メレンキャンプに改名。
更には、本名であるジョン・メレンキャンプへと改名しています。
ジョン・クーガーとしてのアルバムは結局3枚リリースされているのかな。
苦労人のジョン。発掘したのがデヴィッド・ボウイのマネジャーだったとかで。
最初の頃はメイクを施されて、グラム・ロック崩れみたいな路線だったりしたのだとか。
このアルバムで。漸くメイクを落として。ジョン本来の路線に戻ってきたと。
未だ、線が細くて。後の骨太な感じは薄いけれど。ロックンロールしていて。
あの『American Fool』へと続くもの、その原点となったアルバムではあるかなと。
確か、オーストラリアで最初に人気が出て。それが逆輸入されたらしいのですが。
この日本盤にはそのきっかけとなった「I Need A Lover」なるナンバーは未収録で。
恐らくは逆輸入前の、米国での初回盤に準拠しているのだと思われます。
「Night Dancin'」を始めとする軽快なロックンロールと。
「Taxi Dancer」に代表される切ない、哀感溢れるバラードと。その見事な対比。
それによって描き出されるのは。都会の夜の物語。それも夢を抱いて都会へ出てきた若者。
夢を追い求め。傷つき、夢、破れそうになりながらも。諦めずに踊り続けるその物語かなと。
そこに『American Fool』以降、故郷からの物語を描いたジョンの立ち位置の違いがあって。
そのどちらがより大きく広い共感を呼び起こしたか。そこがあの大ブレイクの鍵だったと。
そして。そう確かに線が細く、脆さもある。このアルバムのジョンの描く物語も好きだったりするのです。

踊れ。
踊れるのなら。
この夜も。
この日々も。
踊ってしまえ。

そう。
本当は。
踊らされているのだと。
気づいていても。
躊躇うことはない。

そう。
どれでも。
楽しいのだと。
感じられるのなら。
止めることはない。

心の赴くままに。
心の命じるままに。
そのままに。
踊ればいい。
踊り続ければいい。

遠く。
紆余曲折続きの。
そんな程の途。
逸れてしまった。
積もってしまった。

それでも。
いま。
この場所に。
立っている。
ならば、踊れ、踊ってしまえ。

そう。
まさか。
再び。
踊れるとは。
思っていなかった。

そう。
今さら。
また。
踊ることになるとは。
思っていなかった。

そう。
何の因果か。
何の悪戯か。
踊らされるとは。
思っていなかった。

でも。
そうさ。
気づいてしまった。
本当に。
踊りたかったのだと。

でも。
そうさ。
感じてしまった。
本当に。
楽しいのだと。

だから。
そうさ。
思いのままに。
感じるままに。
踊ればいい。

踊れ。
踊れるうちに。
この夜も。
この日々も。
踊ってしまえ。



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2017/11/04 Sat *消耗戦 / Tom Petty And The Heartbreakers

20171104tompettyandtheheartbreakers


消耗戦。
こんな社会で。
こんな日々を。
送っていれば。
そりゃ、疲れて。

身も。
心も。
思うようには。
ならない。
そんな夜もある。

動かない。
感じられない。
そいつが。
どうにも。
もどかしくて。

誰かに。
己に。
きつく。
当たってしまう。
そんな夜もある。

それも。
そんな夜の。
そんなもどかしさも。
そこにある思いも。
己なのだと。

腹を。
括ってしまえば。
そんな夜も。
あの夜と同じ様に。
何処かへと転がっていける。

『Tom Petty And The Heartbreakers』'76年リリース。
トム・ペティとハートブレイカーズの記念すべき1stアルバム。
今更ながらあのシェルター・レコードからのリリースだったのだなと。
尤も、もはやスワンプ・ロックの時代は終わり、役目を終えようとしている頃ですが。
このアルバムの制作、リリースに至るまでには苦労も多かったみたいで。
デニー・コーデルに見初められたトムが当時やっていたバンドで契約して録音するも。
出来がいま一つと判断されてお蔵入りに。レオン・ラッセルのお声掛りでソロに転向。
ところがレオンがトラブルを起こしてシェルター・レコードを去ってしまい。
再びデニーから新たなバンドをと言われ、マイク・キャンベルも加わってこのアルバムがと。
最初に契約してから二年以上の月日が流れていたのだとか。心が折れる夜もあったろうに。
このタフさは、その後のトムの活動や姿勢に通じるものがあるなと思わされます。
「Breakdown」「Anything That's Rock 'N' Roll」そして「American Girl」と。
シンプルで、ストレートで、軽快にして爽快なロックンロールが多く収録されていて。
その二分~三分に凝縮された叫びに、溜まっていた思いの丈が詰まっているかなと。
恐らくはスタジオ・ライヴに近い録音だったか。プロデューサーであるデニーの功績かなと。
それにしてもシンプルで短いナンバーの輝かせ方、そこにトムならではの才能を感じます。
短編小説の様な物語、それを一気に聴かせるキャッチーなメロディ。
そこにはトムが敬愛して止まないバーズの影響の色濃さも当然、聴きとることが出来ます。
そして軽快に聴く者を魅了する一方で、「Fooled Again (I Don't Like It)」の様に。
重心の低い、やるせなさを感じさせるナンバーでの沈み込む様なトムの歌声。
酸いも甘いもかみ分けた、そんな信用に足るロックンローラーであることがわかるのです。
社会との、世界との消耗する闘いを送る、総ての人の背中をこれからもトムの歌声が支えてくれるでしょう。

消耗戦。
こんな世界で。
こんな日々を。
送っていれば。
そりゃ、すり減って。

身も。
心も。
思いとは。
異なってしまう。
そんな夜もある。

外れる。
ずれている。
そいつが。
どうにも。
もどかしくて。

何かに。
何もかに。
手当たり次第で。
当たり散らしてしまう。
そんな夜もある。

それも。
そんな夜の。
そんなもどかしさも。
そこにある総ても。
己なのだと。

腹を。
括ってしまえれば。
そんな夜も。
いつかの夜と同じ様に。
何処までも転がっていける。

衰弱。
虚脱。
折れて。
崩れて。
身も心も。

ぎりぎりで。
耐えて。
堪えて。
持ちこたえて。
身も心も。

針の。
一穴から。
何かが。
少しだけ染み出す。
そんな夜もある。

グラスの。
表面から。
何かが。
少しだけ溢れる。
そんな夜もある。

わかっていても。
感じていても。
思うにまかせない。
もどかしさに。
苛まれて。

誰かに。
己に。
何かに。
何もかもに。
刃が向かう。

消耗戦。
こんな世界で。
こんな日々を。
送っていれば。
否応なし。

だから。
腹を括って。
何処かへと。
何処までもと。
転がっていく。それだけのこと。



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2017/11/03 Fri *蒼いまま / Bob Seger & The Silver Bullet Band

20171103nightmoves


そうさ。
あの頃は。
蒼かった。
いまだって。
大して変わらない。

夢中で。
がむしゃらに。
求めて。
追いかけて。
躓いて。

懲りずに。
何度も。
同じこと。
同じところ。
傷だらけ。

打ちのめされて。
黄昏もして。
でも。
直ぐに。
根拠もなく回復して。

なんとか。
できないかと。
ならないかと。
やれないかと。
あの夜の中で。

淡い希望で。
蠢いて。
冒険して。
絶望に襲われて。
甘酸っぱくて、切なくて。

『Night Moves』'76年リリース。
ボブ・シーガーが初めてブレイクを果たしたアルバム。
シルヴァー・バレット・バンドとの連名では2枚目で。
スタジオ・アルバムとしては初めてのアルバム。
実は'60年代初めから活動をしていたらしいボブ。
サイケデリックや、スワンプなナンバーやアルバムもあるらしいのですが。
あまりパットせずに。自らのルーツであるロックンロールに回帰して。
その路線での4枚目にあたる、このアルバムで遂にメイン・ストリートへと。
シングル「Night Moves」は初の全米TOP5入り、アルバムも初の全米TOP10入り。
その「Night Moves」に代表されるミィディアムで郷愁を誘う様なナンバー。
そして対照的に颯爽と駆け抜けていくナンバー。そのいずれもが聞き流されないのは。
ボブのタフで、ラフで、ソウルフルな歌声。その魅力によるところが大きいかなと。
逆に言ってしまえば。楽曲自体はかなりベタな感じは拭えなかったりするのですが。
そのベタさが、ボブが歌うと。胸を揺さぶり、心に沁みてくるのですよね。
自動車、夜の街、お酒、ロックンロール、そして女の娘と。ベタな世界なのだけれど。
そうだよな。確かにそうだったよなと。そして、いまもそんなものだよなと。
そのベタさ、蒼さに懐かしさを覚え、共感し、頷きたくなってしまうのですよね。
そして。そう言えば。あんなことも、こんなこともあったなと。自らの体験に置き換えて。
冒険して、謎解きに挑んで、玉砕して。夜の街の片隅で打ちひしがれていたよなと。
実に。何とも。昔、悪ガキだった男どもの共感を呼び起こすボブなのです。
スプリングスティーンの様に小難しくなることもなく、ルックスもむさいままで。
故に、特に日本では絶望的に評価も低ければ、人気もないボブですが。
その潔いまでのベタさ、蒼さはね。時に、無性に胸を掻き毟られるものがあるのです。

そうさ。
いまだって。
蒼いまま。
あの頃と。
大して変わらない。

不乱で。
ひたすらに。
求めて。
追いかけて。
転んで。

学ばずに。
未だに。
同じこと。
同じところ。
血だらけ。

打ちひしがれて。
やさぐれて。
でも。
直ぐに。
証左もなく回復して。

なんとか。
できるだろうと。
なるだろうと。
やれるだろうと。
この夜の中で。

淡い希望で。
蠕いて。
謎解きに挑んで。
玉砕して果てて。
甘酸っぱくて、切なくて。

蒼いまま。
尻尾の生えたまま。
そのまま。
こうして。
ここにいる。

蒼いまま。
懲りずに。
学ばずに。
ここまで。
きてしまった。

何度も。
躓いて。
転んで。
傷だらけ。
血だらけ。

回復するのに。
時間も。
根拠も。
証左も。
いらなくて。

何度。
打ちのめされても。
黄昏たりしても
打ちひしがれても。
やさぐれても。

何度も。
なんとか。
できると。
なると。
やれると。

絶望に襲われて。
玉砕して果てて。
それでも。
淡い希望に。
総てを賭ける。

蒼いまま。
そのままに。
とれない尻尾が。
消えない蒙古斑が。
いまでも俺を駆り立てる。



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2017/10/10 Tue *夢、希望、その自由 / Patti Smith

20171010dreamoflife


夢は。
見られない。
希望は。
抱けない。
そんな時代。

そんな時代だからこそ。
顔を上げよう。
上を向こう。
前を見つめよう。
そう、決めてしまおう。

刀、折れ。
矢、尽き。
翼、もがれようとも。
手が動くなら。
足も動くなら。

拳を握りしめ。
膝に力を入れて。
立ち上がり。
跪かぬ様に。
未だ、終わりではないのだと。

それこそ。
微笑みの一つでも。
口の端に浮かべて。
さぁ、いこうぜと。
誰かに笑いかけて。

夢も。
希望も。
ありゃしない。
ならば。
新しく生みだせばいい。

『Dream Of Life』'88年リリース。
パティ・スミス、5枚目にして長い沈黙を破ったアルバム。
デビュー以来、コンスタントに活動を続けて。
その言霊で、世界に問いを投げかけ、人々を鼓舞し続けていたパティ。
そんなパティが、絶頂期に伝えるべきことは伝えたと言い残して。
フレッド・ソニック・スミスとの結婚生活、そして育児の為に第一線を退いたと。
それは大きな驚きであると同時に。もう戻ってこないだろうなと思っていたのですが。
9年振りに、フレッドの支えもありカムバック。そしてリリースされたこのアルバム。
先ずはこのジャケットに驚かされたかな。強い意志のある眼差しは依然と同じ。
でも。その表情、そしてそこから醸し出される空気の穏やかであること。
あぁ、パティは妻に、そして母になったのだなと。その時に初めて実感したのかも。
アルバム全編を通してのサウンド、そして覆う匂いも以前とは異なっていて。
丸みを帯びて、潤って、豊かになったかなと。その変化にはかなり戸惑ったかな。
何せ。ニューヨーク・パンクの女王だったのですから。その剃刀の様な存在感。
それにやられて、痺れてしまっていた身としては。正直、これが同じパティなのかとも。
ただ。繰り返し聴いていくうちに。ふと気づかされて。そうかこれもパティなのかと。
表情は穏やかで、その歌声には慈愛が満ちて。それを破綻の無いサウンドが包んで。
それでも。パティの歌声は、その言霊は伝わってくると。いきなり鋭く刺さらなくても。
その厳しさと愛に満ちた歌声、言霊が。じわりじわりと胸の内に染み込んでくるのだと。
何故か。パティの眼に映るもの、言葉に、歌にしようと思うもの、伝えたいと言う意思。
それに些かの変化も無いからなのではと。変わらずに怒り、闘い、愛するパティだからだと。
当時も。時代や世界の状況は絶望的だったはずで。それでも。それだからこそ歌うのだと。
A面頭の「People Have the Power」の何と温かく、何と力強く、何と励まされることか。
恐らくジョン・レノンのことが頭にあったのでしょうが。歌い継ぐ決意表明でもあるのかな。
どんな時代でも、どんな世界でも。我々には夢を見る力、自由は残されている。それを忘れてはならないとね。

夢も。
見られない。
希望も。
抱けない。
そんな世界。

そんな世界だからこそ。
俯かずに。
空を見上げよう。
前だけを見よう。
そう、決めてしまおう。

刀は折られた。
矢は届かなかった。
翼も力を失っても。
意思は変わらない。
勇気も衰えていない。

息をいっぱい吸い込み。
胸を張って。
眼に力を宿して。
立ち続けよう。
未だ、終わりにはできないのだと。

それこそ。
冗談の一つでも。
口の端に上らせて。
なぁ、いけそうだぜと。
誰かと笑いあって。

夢も。
希望も。
失われた。
ならば。
もう一度生みだせばいい。

走れなくなった。
でも。
まだ。
歩けるだろう。
ならば、それでいい。

怒れなくなった。
でも。
まだ。
口惜しいだろう。
ならば、それでいい。

笑えなくなった。
でも。
まだ。
微笑みは浮かぶだろう。
ならば、それでいい。

泣けなくなった。
でも。
まだ。
涙、こぼれるだろう。
ならば、それでいい。

顔を上げよう。
空を見上げよう。
前だけを見つめよう。
やせ我慢でも。
構わないから。

拳を握りしめよう。
膝に力を入れよう。
胸を張ってみせよう。
震えていても。
構わないから。

夢も。
見られない。
希望も。
抱けない。
そんな時代。そんな世界。

それでも。
俺達には。
夢を見る。
希望を抱く。
力はある。自由はある。

夢も、希望も、まだここにあるのだ。



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2017/10/09 Mon *傷だらけの人生 / Johnny Thunders

20171009hurtme


これでも。
実は。
気が小さくて。
臆病者で。
そんなものだから。

あっちで。
こっちで。
躓いて。
引っ掛かって。
その繰り返しで。

体の。
あちらも。
こちらも。
傷だらけで。
沁みたりする。

それでも。
傷だらけの。
そんな経験から。
感じられることもある。
知ることもある。

ひとつ。
ひとつの傷が。
呼び覚ます。
震わせる。
戒める。

一人。
一人で。
その傷を。
その代償を。
引き受けて、ここにいる。

『Hurt Me』'84年リリース。
ジョニー・サンダースの弾き語りによるアルバム。
全19曲、ただひたすらにアコギで弾き語るジョニーです。
ニューヨーク・ドールズやハートブレイカーズ時代に陽の目を見なかった。
そんなナンバーもあれば。『So Alone』に収録されていたナンバーの再演も。
勿論、新たなジョニーのオリジナル・ナンバーも聴くことができるし。
ボブ・ディラン、P.F.スローン、そしてローリング・ストーンズのカヴァーも。
嘘偽りのない、ジョニーの心象風景のスケッチと言ったところかな。
恐ろしく無垢で純粋な孤独の魂。ジョニーを聴くといつもそんな言葉が浮かぶのですが。
特にこのアルバムに針を落とすと。その思いが強くなるかな。
どうしたら、ここまで。無防備に己と言うものを晒すことを恐れずにできるのか。
どうしたら、その剥き出しの己と言うものをカッコいいロックンロールに昇華できるのか。
憧れ、焦がれ。でも永遠に届かない存在。そんなジョニーがここにいるのです。
シド・ヴィシャスに捧げられたと言うオリジナルの「Sad Vacation」に始まり。
スローンの「Eve Of Destruction」、ディランの「It Ain't Me Babe」ときて。
ストーンズの「I'd Rather Be With The Boys」なんてマニアックなナンバー。
そして「You Can't Put Around Your Memory」に「Lonely Planet Boy」など。
何らかの意図をもって選ばれたのか。それとも思いつくままに爪弾いた中から選んだのか。
恐らくは後者だと思われるのですが。結果としてあるものの姿が浮かんできているかなと。
それこそが。まさに傷つくことを、あるいは傷を晒すことを厭わない、恐れない。
そんなジョニーの姿勢、そして。ジョニーの無垢で純粋な孤独の魂そのものだと思うのです。
あまりに赤裸々でもあり。時に思わず目を背け、耳を塞ぎたくもなるのですが。
そんな姿勢、そんな魂。それをもってしか表現できない、伝えられないものもあるのです。
このアルバムから逃れること、それはロックンロールから逃れることにもなる気がするのです。

これでも。
実は。
神経が細くて。
甘ったれで。
そんなものだから。

あっちで。
こっちで。
転んで。
切りつけられて。
その繰り返しで。

心の。
あちらも。
こちらも。
傷だらけで。
血が流れ続けている。

それでも。
傷だらけの。
そんな経験でのみ。
感じられないものもある。
得られるものもある。

ひとつ。
ひとつの傷が。
思い出させる。
刻みつける。
諫める。

独り。
独りで。
その傷を。
その代償を。
引き受けて、ここにある。

そこまで。
どこまで。
この道を。
その道を。
いこうというのか。

そこまで。
どこまで。
頑なに。
譲らずに。
いこうというのか。

あっちで。
こっちで。
いたるところで。
躓いて。
引っ掛かって。

あそこでも。
ここでも。
いたるところで。
転んで。
切りつけられて。

体も。
心も。
傷だらけ。
沁みている。
血が流れている。

呼び覚まされる。
震わされる。
思い出される。
刻みつけられる。
そのことを。そのものを。

一人で。
独りで。
その傷を。
その代償を。その対価を。
引き受けて、ここにいる、ここにある。

受傷の。
受傷続きの。
傷だらけの人生。
そいつが愛しい。
夜がある。



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2017/10/08 Sun *楽しい! / Flamin Groovies

20171008supernazz


ロックンロールは。
楽しい!
そう。
楽しいのだ。
聴くのも、観るのも。

別に。
難しいことじゃない。
大袈裟に構えることもない。
ただただ。
素直に反応して。

そのままに。
心の赴くままに。
揺れて、揺られて。
弾んで、跳んで。
それでいい。

有名だとか。
無名だとか。
売れているとか。
売れていないとか。
どうでもいい。

感じるか。
動くか。
反応するか。
その一点勝負。
ロックがロールしていればいい。

ロックンロールは。
楽しい!
それだけ。
意外と難しくもあるけれど。
楽しいと感じるなら、それがいい。

『Supernazz』'69年リリース。
ジャケットも楽しいフレイミン・グルーヴィーズの1stアルバム。
この正体不明のキャラクター、ネズミー・ランドのあれのパロディかな。
サンフランシスコ出身のフレイミン・グルーヴィーズ。実にご機嫌で正体不明。
キャッチーでポップなロックンロール。でもサイケで、ガレージで、パンキッシュでもあり。
国籍も不明で。この軽快なビートは、ブリティッシュ・ビートのそれだろうと。
なのに。そのサイケはアメリカ西海岸の香りがプンプン漂ってもいて。面白いなと。
まぁ、あの時のシスコですからね。サイケデリックとかフラワー・ムーブメントの影響下で。
でもやっている本人達は、ブリティッシュ・ビート勢に憧れていたと。
それが混じって、合わさって。その結果として自然と独自な世界に辿り着いたのかな。
思えば。ブリティッシュ・ビートの源流は、その実はアメリカのR&B、ロックンロールで。
そいつが一周して帰ってきて。こんなご機嫌なバンド、アルバムを生み出したと言うのが。
その因果応報と言うか、輪廻転生と言うか。音楽と言うのは面白い生き物なのだなと。
やっていることは。本当にシンプルで。大上段に構えるでもないし、大言壮語もしないと。
そんなに凄いテクニックもないし、明らかにチープなB級な匂いが漂っていると。
でも。理屈抜きに楽しいと。滲み出るアメリカならでは突き抜ける明るさ、陽性なメロディ。
支えているのはブリティッシュなビートである。雑種な感じも楽しさを倍加させていると。
カヴァーも、オリジナルも。同等に血肉と化している。その無差別なところも素晴らしく。
「The Girl Can't Help It」における消化力、換骨奪胎している様は痛快の一言です。
メンバー・チェンジを繰り返しながら活動を続けて。パワー・ポップなサウンドに接近。
更にはイギリスに渡って。それこそパブ・ロックとも言えるアルバムをリリースするし。
どこまでも、どこか捉えどころのない正体不明さを貫き続けたフレイミン・グルーヴィーズ。
でも。ロックンロールは楽しいのだと。そう感じさせてくれる。その一点に関しては。
このアルバムから、終始一貫として変わることはなかったのですよね。

ロックンロールは。
楽しい!
そう。
楽しいのだ。
歌うのも、弾くのも。

別に。
難しいことはできない。
大袈裟ななど構えられない。
ただただ。
素直な反応の。

そのままに。
心の赴くままに。
声にして、口ずさんで。
弾いて、刻んで、叩いて。
それでいい。

ずれていようが。
上ずろうが。
走っても、もたっても。
どさくさになっても。
それでもいい。

感じたまま。
動かされたまま。
反応したまま。
その一点勝負。
ロックがロールしていればいい。

ロックンロールは。
楽しい!
それだけ。
存外に難しくはあるけれど。
楽しいと感じるなら、それでいい。

軽快で。
浮く様に。
そして。
明るく。
輝いて。

この胸に。
届いて。
響いて。
この腰が。
揺れ始める。

簡単で。
真っ直ぐに。
そして。
力強く。
訴えて。

この胸を。
掴んで。
捕えて。
この足が。
駆けだしたくなる。

そのままに。
心の赴くままに。
体の感じるままに。
その反応のそのままに。
一点勝負。

難しいことじゃない。
大袈裟に構えることでもない。
声高に叫ぶ様なことでもない。
大言壮語も必要ない。
そのままでいい。

ロックンロールは。
楽しい!
それだけ。
意外と難しくもあるけれど。
楽しくあれるなら、楽しくやれるなら、それでいい。



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2017/10/07 Sat *より深く愛した者は / Southside Johnny & The Asbury Jukes

20171007loveisasacrifice


より深く。
愛した者は。
より深く。
罰せられる。
そんなところ。

理由など。
ありもしない。
理屈など。
通りもしない。
そんなもの。

ただ。
愛してしまった。
それだけ。
それだけ故に。
罪となる。

止められなかった。
落ちてしまった。
それは。
耐え難くも。
甘くもあるもの。

それを。
知りながら。
その実を。
手にしてしまった。
その代償と言うこと。

まぁ。
いいだろう。
どれだけの。
犠牲を払ったとしても。
止まりはしないのだから。

『Love Is A Sacrifice』'80年リリース。
サウスサイド・ジョニー&アズベリー・ジュークス。
世界一のバー・バンドとも称されるジョニーとジュークス。
その通算5枚目にして、マーキュリーでは2枚目となるアルバム。
ニュージャージーはアズベリー、そうブルース・スプリングスティーンと同郷で。
ブルースの盟友、そんな文脈で語られることが殆どのジョニーです。
実際、その縁もあってか注目されて。エピックとの契約を獲得して。
ブルースのナンバーを含み、同じく盟友のマイアミ・スティーヴンも深く関わった。
そんなエピック時代の3枚のアルバムがそのキャリアに於いても注目されがちですが。
逆に言うと。あまりにもブルースの影が濃すぎて。そこから抜け切れていないと。
そんなジョニーにとって。移籍してスプリングスティーン達と距離を置くのは必然だった。
そう思えるほどに。このアルバムでのジョニーの歌声は実に生き生きと輝いています。
ブルースに深く傾倒して。ブルースばかり歌っていたからサウスサイドとの渾名を得た。
そんなジョニーにはブルースとは異なる魅力があって。それを生かさない手は無いと。
そう。その歌声に宿る黒っぽさ。ブルー・アイド・ソウル・シンガーとしての魅力。
それはこのマーキュリー時代により発揮されることになったと感じられるのです。
前作ではマッスル・ショールズに乗り込み、バリー・バケットにプロデュースを委ねて。
このアルバムではその成果をニュージャーニーに持ち帰り、自らプロデュースを手掛けて。
自らの魅力を自らの手で引き出すことに成功した。それがこのアルバムかなと。
「Why Is Love Such A Sacrifice」での女性コーラスとの掛け合いなど実に絶品なのです。
マーキュリーでのレーベル・メイト、グラハム・パーカー&ルーモアにも通じる。
パブ、そしてバーが似合う。そんな酒と煙草の匂いのソウルフルなロックンロールなのです。
結局。そんなバー・バンドに、その世界に殉じてしまった感もあるジョニーですが。
それだけ深く、自らの信じるところを愛してしまった故なのだろうなと。感傷的に過ぎるかもですが。

より深く。
愛した者は。
より重い。
罰を受ける。
そんなところ。

理性など。
利きもしない。
倫理など。
通じもしない。
そんなもの。

そう。
愛してしまった。
それだけが。
それだけだから。
罪となる。

抑えられなかった。
溢れてしまった。
それは。
苦しくも。
狂おしくもあるもの。

それを。
知りながら。
その実を。
口にしてしまった。
その生贄と言うこと。

まぁ。
いいだろう。
どれほどの。
犠牲を払ったとしても。
抑えられはしないのだから。

耐え難いのだと。
苦しいのだと。
そんなことは。
知りながら。
知りぬきながら。

それでも。
尚。
それ故の。
甘さが。
狂おしさが。

理由も。
理屈も。
理性も。
倫理も。
存在を失わせる。

止められなかったのも。
落ちたのも。
抑えられなかったのも。
溢れてしまったのも。
確信犯。

そう。
総てを。
知りながら。
その実に手を伸ばし。
その実に唇を寄せ。

代償。
生贄。
どれだけの。
どれほどの。
犠牲も厭いはしない。

愛してしまった。
ただ。
深く。
愛してしまった。
それが罪となる。

より深く。
愛した者は。
より深く。より重く。
罰せられる。
それならば。

その罪を受けるだけ。



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2017/10/05 Thu *一人だとしても / George Thorogood And The Destroyers

20171005maverick


忘れて。
流されて。
組して。
あぁ。
そうなのだろうな。

こんなはずじゃと。
そう思いながら。
その居心地の良さに。
埋没してしまえば。
楽なのだろうな。

考えなくていい。
感じなくていい。
昂揚を手放せば。
失望も手放せるのだ。
安らぐのだろうな。

目を閉じて。
耳を塞いで。
否。
見えない振りをして。
聞こえない振りをして。

あれも。
これも。
総て忘れてしまったのだと。
総て流されてしまったのだと。
そういうことにしてしまう。

楽なのだろうな。
安らぐのだろうな。
だとしても。
冗談じゃない。
全力で逆らってやろう。

『Maverick』'85年リリース。
ジョージ・サラグッド&デストロイヤーズ。
もう40年程は。愚直にロックンロールとブルースをやり続けている。
そんないかした奴等の何枚目かのスタジオ・アルバム。
商業的には一度も大ブレイクしたことは無いのだけれど。一度も立ち止まらず。
故にそのアルバムの枚数も結構な数に上るのだけれど。
正直、いい意味で変わらないので。どれがどれだかで。枚数も判然とせず。
否、調べればわかるのだろうけど。そんなことは意味が無いかなと。
その中でもこの頃は比較的、その名前や音をよく耳にした記憶があるのだけれど。
恐らくは。下らない、箸にも棒にも掛からない。そんな音、音楽が氾濫していた時代に。
真っ当なロックンロールやブルースを必要とする。そんな天邪鬼、反逆者達が結構いたと。
そんなことの証なのかも。どんな時代にも良心と言うのは死に絶えないと。
大袈裟に言えばそんな感じで。その良心のオアシスの一つではあったのだろうな。
何の衒いも、ハッタリも無い。一本気で、無骨で、本当に骨太で。
その正面突破を図るかの如きの、ゴリゴリな力技が何とも言えずにご機嫌なのです。
その潔さ。わき目も振らず、徒に振り返りもせず。前だけを見つめて進み続けて。
寄らない、群れない、組みしない。忘れず、流されず、屈せず。折れずに貫く。
頑固と言えば頑固。頑なと言えば頑な。それもここまでやれば立派なものだと。
軽佻で、浮薄で、華美で。どんなに持て囃され様と。そんな風潮には目もくれなかったと。
アルバム・タイトル通りの、異端者、反逆者、一匹狼。その佇まいには痺れざるを得ない。
世の中には素晴らしいロックンロールやブルースがある。オリジナルなんて必要ないと。
確かそう嘯いていたジョージ。このアルバムにはオリジナル・ナンバーも含まれていますが。
カヴァーであろうと、オリジナルであろうと。総てジョージのロックンロール、ブルース。
その血の通った様、血となり肉となっている様。それが堪らなく好きなのだな。

寄って。
群れて。
烏合して。
あぁ。
そうなのだろうな。

これはおかしいと。
そう思いながら。
その程よいぬるま湯に。
耽溺してしまえば。
楽なのだろうな。

考えることを放棄して。
感じることも投げ棄てて。
希望を手放せば。
絶望も手放せるのだ。
安らぐのだろうな。

頭を止めて。
心を閉じて。
否。
愚者の振りをして。
不感症の振りをして。

あれも。
これも。
誰かの言うとおりなのだと。
皆と同じでいいのだと。
そういうことにしてしまう。

楽なのだろうな。
安らぐのだろうな。
だからこそ。
我慢できない。
全力で背いてやろう。

忘れてたまるか。
流されてたまるか。
組してたまるか。
そう簡単に。
諦めはしない、できない。

寄ってたまるか。
群れてたまるか。
烏合の衆になれるか。
そう簡単に。
納得はしない、できない。

居心地の良さ。
そいつを。
疑うのだ。
そいつに。
埋没する前に。

ぬるま湯から。
そこから。
上がるのだ。
そいつに。
耽溺する前に。

見えている。
聞こえている。
それが事実。
目を閉じるな。
耳を塞ぐな。

考えている。
感じている。
それも事実。
頭を止めるな。
心を閉ざすな。

昂揚があれば。
失望もある。
希望もあれば。
絶望もある。
そいつを恐れるな。

楽だとしても。
安らぐとしても。
それは。
欲していたものではない。
求めていたものではない。

頑固に。
頑なに。
風潮などに目もくれず。
異端者でいよう。
一人だとしても。

それに。
実のところ。
一人じゃない。
そのことは。
知っているしね(笑)。



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